
仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」
(60)8月の あんな話、こんな話 10/08/18
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10/08/18
8月といえば、戦争と平和についての番組が集中する時期です。
ことしもドキュメンタリーからドラマまで力作がそろっていましたね。
本欄では、15日(日)夜9時から放送されたNHKスペシャルドラマ『15歳の志願兵』に触れます。
太平洋戦争末期の1943年。旧制中学校愛知一中の少年たちの実話をもとにした作品です。
愛知一中に海軍志願兵の応募が割り当てられます。47人目標ですが、志願者は13名。あわてた校長は、専任士官(当時は、中学校に将校が配置されて軍事教練をやっていたのです)の力を借りて「愛国」を説きます。
主人公の親友で、ベルレーヌの詩が好きで志願に疑問をもっていた少年は、「天皇のため、国のため」身を捨てる覚悟をします。彼は、まもなく特攻で死にます。主人公は視力検査に不合格で生き延びます。
戦死した少年の母親が、「息子の最後の日記を読んでほしい」といいます。母親は残念ながら文字が読めないのです。息子の本心を知った母親は「私に学問があったら、息子に志願させなかったのに」と涙します。主人公の少年はいいます。「私たちは学校で”死ね”と教わったのです。学問がなかったのは この国です」と。
少年の言葉を聞きながら思いましたね。学問がなかったのはこの国と、そしてメディアではなかったのか、と。
そこで8月のメディアです。
アメリカによる原爆投下から65年。8月6日(8時15分)広島。9日(11時02分)長崎。ぼくは毎年、テレビ画面を通じて流れてくる慰霊の鐘の音とともに黙祷に加わって院す。
ことしの広島の記念式典には、潘基文国連事務総長が初めて参加しましたね。アメリカの駐日大使も、ともかく参加しました。国連事務総長は、「被爆者が生きている間に、その日を実現できるよう努めよう」と核兵器廃絶の早期実現を訴えましたね。
長崎では、ことしも山里小学校の児童が、永井隆博士作詞の『あの子』を歌いました。「あァあー あの子が生きてぇ いたあならばァ・・・」。聴くたびに涙が出るのですよ。
核兵器廃絶に向けて、おぼろげながらですが道が見えはじめてきたという点では、従来に増して意味のある8月と位置づけられていいと思いますが、テレビはどのように伝えたのでしょうか。広島、長崎の局は、平和祈念式典を中心に長時間の企画番組を組んだはずです。
東京ではどうだったか。
チャンネルを回してみました。NHKは6日、9日両日とも30分ほどの全国放送でしたが、民放は・・・たしかTBSの『朝ズバ』と、テレビ朝日の『スーパーモーニング』が、8月6日8時15分をまたいで短時間の中継をしていただけでしたね。その他の局は無関心でした。
9日11時02分。NHKは短時間でしたが全国中継をやっていました。
民放は通常番組でしたね。ぼくが見たかぎりではそうでした。
広島、長崎と東京キイ局・・・その「温度差」をあらためて見せつけられましたね。
「温度差」といえば、沖縄と本土。
8月14日、日本ジャーナリスト会議(JCJ)の「市民とジャーナリストを結ぶ集い」がありました。本来は「8.15の夕べ」として8月15日にやられていたのですが、近来、かならずしも15日ではなくなってきています。「集い」のメインはJCJ賞の贈賞です。JCJ賞から新人賞まで何人かが受賞されましたが、参加するたのしみは、受賞者の受賞の「弁」を聴くことです。
受賞者の一人ひとりの話は、いつもすばらしい。ここでは二人の話の一部だけですが紹介しましょう。琉球新報の松元剛さんは、「沖縄が日米政府を追いつめている。だが日本(政府)はどうか。意思をもって(日米の)軍事融合をすすめている。危険だ」と訴えました。
沖縄タイムズの長元朝浩さんは、(大手紙の記者に)「われわれが関わっているのは”国益”(国政)だ。みなさんの抱えているのは”内政”だ」と言われたといいます。そして、「官僚と記者クラブの”サークル”から抜け出せない体質」をもの静かに批判しました。
中央メディアが、アメリカ従属から抜け出すのはいつなのでしょうか。「百年河清を待つ」わけにはいきませんね。
少なくとも、普天間問題はこれからです。沖縄の新聞と一緒に、わたしたちの身の回りの小さなメディアで、声を上げることの大切さを改めて知らされた8月です。
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