仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(58)

参院選とメディア―またも「目くらまし」

 

参院選とメディア―またも「目くらまし」

 

仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)

 

 

 かつてなく重大な選挙だと位置づけられていた第22回参院選挙が終わった。
  終わってから時間は経過しているけれど、触れないわけにはいきませんね。

 政治が曲がり角にくる毎に、必ずといっていい「新党」が発生してくるものですね。今回も、自民党から枝分かれした「新党」が、有権者にとって「目くらまし」の役割をえんじましたね。

 最初の党首討論は日本記者クラブ主催だった。
  「消費税増税は法人税減税の財源づくり。福祉財源にも財政再建にもならない」としてきしたのは日本共産党の志位さんだった。
  この発言を受けて、記者の中から民主党の菅代表に「法人税の25%という削減目標はできるのか?」という質問が出た。
  てっきり消費税や法人税の議論になるだろうと期待して見ていましたよ。
  ところが、ならなかった。前列に並んでいるのは記者クラブの幹事社なんですかね。討論会の進行を仕切っていましたからね。時間が限られていたのか、その気がなかったのか、突っ込んだ議論にならなくて、中途半端で打ち切られたのです。

 普天間基地問題もそうでしたね。自民党も みんなの党も 「沖縄県民の納得を」というばかりです。「納得」とは、県内たらい回しの日米合意を「呑め」ということですよ。「押し付け」の同義語ですね。

 各局で党首討論番組が放送されましたが、なにせ9党ですからね。新党が増えた分だけ討論時間を延ばさばよさそうなものですが、テレビ局側にその気はありませんでしたね。ゴールデンタイムをぶち抜いて党首討論をやったらどうですかねえ。それこそ「社会的責任」を果たすことになるとおもいますがねえ。

 結果は、争点となるはずの「消費税増税」議論は生煮えのままでした。
  「普天間基地撤去」問題は、議論の外に置かれたままで終わってしまいました。
  大事な参院選だったけれど、「メディアの対応」は「争点隠し」で終わってしまった。

 ジャーナリストの江川紹子さんが言っていましたね。「(今回の参院選について)メディアの伝え方にも問題があった。どこが勝ちそうだとか、だれとだれがくっつきそうだとか、政局の方にだけ目が向いていたのでは・・・」(7月18日 NHK『日曜討論』”ねじれ国会再び”)と。そのとおりですね。メディアも「自覚」してくれませんかねえ。

 「普天間基地撤去」問題はこれからです。
  11月にはオバマさんが来るようです。オバマさん宛ての署名を集めたいねえ。「普天間基地を無条件で撤去してほしい!」「日米安全保障条約は終わりにして、新しく友好条約を結び直しましょうよ」といった趣旨の署名ですね。
  どこかにたくさん集まって、国会デモとか 銀座デモとか・・・。日本国政府が言えないのなら、われわれが言えばいいじゃないですか。どうですかね。

 

  http://blog.goo.ne.jp/takuzou4108/