仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(89)

まるで別世界の「政治パフォーマンス」 12/09/17

まるで別世界の「政治パフォーマンス」

仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)

 

 中国の反日デモは106都市以上だといいます。収束の見通しはありませんが、「一方、デモ隊と反対の歩道を”冷静対応、反対暴力”と書いた紙を掲げて一人だけで歩く若い男性の姿もありました」(9月17日付、しんぶん赤旗)ようです。たった一人の表現者ですが、「ホッとした」感をもちましたね。そこに「勇気」を見ましたね。中国国内(中国も指導部の交代時期で、判断することをさけているような)の民衆同士の良心的な話し合いの可能性まで想像させられましたよ。こんな見方は「楽観的」過ぎますか?。

  そこで、わたしたちの国です。民主党は党首選、自民党は総裁選で大忙しです。
 各局で討論会をさせていますが。中身はなんともピントはずれです。フジテレビ『新報道2001』、NHK『日曜討論』(いづれも9月16日)を例にとってみれば、NHK『どうなるダブル党首選』での民主党のテーマは尖閣問題より原発、再生エネルギーでしたね。「党がまとまるかどうかが問題」といっていましたが、もともと寄せ集めの議員集団ですから「もともとまとまっていない」のですから、まとまるはずがありません。笑ってしまいます。「原発ゼロ」は「政治目標」だそうです。大間のマグロで知られる大間原発(現在工事中断中)などは建設するそうです。ゼロはあくまでも「目標」なんですね。「税と社会福祉の一体改革」は、「消費税増税と公共事業の一体改革」のようです。

  フジテレビの『新報道2001』は「緊急生集合・・民主&自民の党首候補者9人総出演 景気&尖閣&年金は?」。尖閣問題で時間をとっていましたね。
 魚釣島に船だまりをつくる。灯台をつくる。公務員を置く。といっていましたよ。「漁民の安全確保のため」だそうです。海が荒れた場合なんですね。そんなことはいまにはじまったことではありません。いまさら「漁民の安全」なんて付け焼刃もいいとこでしょう。
 結局は、「日米関係が揺らいだから」「日米間の再構築」「防衛力の強化」となっていました。一方で「対中国の輸出・観光に力を注ぐ」といいますが、まるでちぐはぐです。
 そもそも、尖閣問題がここまで大きくなったのは、「国有化」がきっかけでしたよ。そのきっかけをつくったのは、石原さんが「東京都で買う」といいはじめたからですよ。慌てた民主党が「買うなら国だ」ということになりましたね。中国船が沖縄近海に現れたら、こんどは「沖縄の国有化」でしょうか。理屈からすれば、南シナ海に面した土地は、全部国有化ということになる。

  歴史的には、尖閣は「無主」(持ち主が無い)の島だったようです。日清戦争時の台湾・澎湖諸島とは無関係の島です。福岡かどこかの古賀という人が鰹節工場をつくったりしていたじきがあったのですね。最初に魚釣島を利用した人がその人で、「先有者」ということになって、日本政府も私有地として認めたのですね。

  昔は、あそこの海域を通る船は、日本も中国も通行の「目標」にしていたようです。誰もあの島をどうしようなんて考えてもいなかった。
 それが突然、問題になるようになった。問題は地下資源のようです。
 一時期、日中双方で共同開発の話が持ち上がったことがありましたが、あの話はどうなっているのですかね。そんなことから「話し合い」を再開したらどうなのですかね。

  アメリカは、尖閣問題には「中立」というじゃありませんか。
 ぼくは、なにかあれば「得するのは誰か」と考えるのです。尖閣問題も、そんな「目」でみてみませんか。そうすれば、「抑止力」とか「防衛力強化」とか「日米安保絶対」という発想はでてこないとおもうのですが、どうでしょうかね。
 {消費税増税」「TPP]「オスプレイ」「原発」・・・「得するのは誰か」「いつも犠牲になるのは、誰か」・・・そんなことを考えなければこの国のみらいもなければ、私達の未来もない。
 党首選の結果がどうであれ、やがて解散・総選挙です。アメリカにものを言い、経団連にものをいえる政党を伸ばしたい。最近、切実にそう思っているのですよ。

 そろそろ秋風が吹きそうです。お互いに、体調を整えて、自分のために物事を考えようじゃありませんか。ね。



 

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