仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(91)

死んだ男の残したものは 12/10/22

仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)

 10月20日(土)14時~鎌倉芸術劇場「大船九条の会5周年のつどい」の宣伝をしたのですから、報告しないと義理を欠きますね。
  第1部は、このところ波に乗っている歌手・真子masakoくんとぼくのおしゃべりのジョイントでした。「愛と死をみつめて」からはじまりました。九条の会とはそぐわない歌ですが、実はこの作曲家土田啓四郎さんとは、ぼくが作詞した『メッセージ』『悔いない人生』『思い』に曲をつけてくれたことでつき合いが始まったのです。残念ながら、心臓病で急死されたのです。彼は『愛と死・・』で第6回レコード大賞を受賞しています。彼を偲ぶ意味もあっての選曲でした。
  おしゃべりはだらだらすると興味を削ぎます。歌にまつわるエピソード・・それも、平和・戦争に触れた短いおしゃべりにしました。
  第1回広島平和音楽祭で美空ひばりさんが歌った『八月五日の夜だった』『一本の鉛筆』、淡谷のり子さんが、出撃前の特攻隊兵士の前で歌ったという『別れのブルース』
  パブロ・カザルスが1971年10月24日、世界国際平和デー(国連本部)で、「わたしの故郷スペインのカタルー二ャ地方では、鳥は”ピース、ピース”と鳴く」とはなしながらチェロを弾いたことで有名な『鳥の歌』などなど・・・。1部だけで9曲もです。

 第2部は「真子masakoオンステージ」
  ぼくがあたらしく作詞した(東日本大震災の被災者に思いを寄せた)『それは”約束”』、子守唄風の『あしたは きっと』、真子くん作詞の『夢の中で』など、ここの予定も9曲でしたが、アンコールもあって大盛り上がりでしたね。
  アンコール曲の一つに、ぼくの好きな『死んだ兵士の残したものは』を入れてもらいました。
  谷川俊太郎・作詞、武満徹・作曲・・・名曲といっていいでしょうね。
  
   死んだ男の残したものは 一人の妻と 一人の子供
    他には何も 残さなかった 墓石一つ残さなかった

  死んだ女の残したものは しおれた花と 一人の子供
    他には何も 残さなかった 着物一枚残さなかった

  死んだ子供の残したものは ねじれた足と 乾いた涙
    他には何も 残さなかった 思い出一つ残さなかった

  死んだ兵士の残したものは 壊れた銃と ゆがんだ地球
    他には何も 残せなかった 平和一つ残せなかった

  死んだ彼らの残したものは 生きてる私 生きてるあなた
    他には誰も 残っていない 他には誰も残っていない

  死んだ歴史の残したものは 輝く今日と またくる明日
    他には何も残っていない 他には何も残っていない

 鎌倉芸術館のホールでなく、ほどよい広さのリハーサル室が会場です。
  80人を超えて満席。
  おおむね好評のようです。「感動した」という感想も聞きました。
  歌には それぞれ歴史があるのです。ほんの僅かでも紹介するだけで、歌は息を吹き返します。
  ご参加ありがとうございました。
   「藤沢でもやりたい」といってこられた方がいます。この「ジョイント」全国ツアーでもやろうかな。無理にきまっていますが そんな思いを実感した鎌倉芸術劇場だったのでーーす。

 ◆ そしてまた宣伝

   いま この国は「混沌」
    九条の会・東京連絡会」は、情勢にふさわしく「緊急!大学習会」をやります。

   『どうなる この日本!』--強まる改憲策動とその狙いーー
         日時 10月29日(月)18時 開場
                     18時30分 開会
         場所 エデュカス東京(麹町)
         参加費 999円
    お話は 小森陽一さん(九条の会事務局長、東京大学大学院教授)
    前座で真子masakoくんが歌います。

   秋の夜長・・・どうぞ誘い合ってお越しください。



 

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