仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(107)

老いても青春。そして集団的自衛権。 14/07/03

仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)

(民放関東シニアの会会報に載せたものの転載です)

 集団的自衛権行使容認の閣議決定を目前にして、6月30日夕方から7月1日にかけて首相官邸前では休むことのない抗議行動が展開された。

 6月30日の行動に参加したかったが、九条の会東京連絡会の総括会議のため残念ながら不参加。残念さをとり戻すために、7月1日の「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」と「戦争をさせない1000人委員会」が呼びかけた行動に駆けつけた。

 9時半開会予定だが、官邸前は人・人・人の波。抗議行動の広がりを察知してか、歩道上に鉄柵が設置されていた。従来の行動には見られなかった光景である。集会は「鉄柵設置」に対する抗議からはじまった。怒りの強さ、道理ある抗議で警察当局はついに鉄柵を撤去した。緊急の呼びかけだったが、参加者は2000人を超えた。「解釈改憲絶対反対」「閣議決定絶対反対」のシュプレヒコールが官邸に、国会議事堂に轟き渡った。

 女子大学院生が飛び入りでマイクを握った。「先生に“官邸前行動に参加します”といったら快く送り出してくれた。学友たちも“がんばってきてね”と励ましてくれた。戦争する国、絶対反対です!」と。歯切れのいい発言に大きな拍手が湧いた。

 閣議決定が早まりそうだという情報で、予定になかった院内集会が14時から、
さらに15時からの官邸前行動が提起された。

 12時15分からは「憲法共同センター」の呼びかけによる行動。17時からも実行委員会と1000人委員会による行動が展開された。
  反対の声が渦巻く中で、閣議決定はおこなわれた。「原発ムラ」という言葉がある。政・財・官・学に報道が参加している「ムラ」である。この日、「戦争ムラ」が現出した。「平和の党」を自負していた公明党が、その冠を投げ捨てて「戦争ムラ」の一員になった。

 一連の行動に「一人参加」や「子ども連れ参加」が目立ったのも特徴的だ。60年安保とは様相が違う。この国を「戦争する国にさせてはならない!」の思いの強さをひしひしと感じた。本来なら、マスコミ関連労働組合は「統一スト権」を確立して立ち上がるはずだろうが、残念ながらそうはなっていない。であれば、われらができることをやっていこう。

 アメリカの詩人、サミュエル・ウルマンに『青春の詩』というのがある。「年を重ねただけでは人は老いない。理想を失うときに、初めて老いがくる」と。青春とは、人生のある期間をいうのではなく、心の様相をいうのだと歌う。その胸中に燃え盛るものがあるかぎり、人は若さを失わないのだ。情熱を失うわけにはいかない。次世代に「平和な国」を渡すのは、われらなのだから。

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