仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(90)

「反作用」の「力」 経団連へも 12/10/17

仲築間卓蔵 (元日本テレビプロデューサー)

 涼しく というより寒くなりました。
  あの暑さは何だったのでしょうね。
  あちこちで講演(といっても、ぼくの場合半分は漫談風ですが)をしていますが、みなさんの希望むテーマは「マスメディアは信用できるか」です。

 このところ、話のついでに引き合いにだしているのは(ノーベル賞の季節とは無関係です)『ニュートンの力学』です。「物体Aが物体Bに力を加えると、必ずBもAに同じ大きさで反対向きの力を返す」という「作用と反作用」の法則です。これは、わたしたちの運動にも通じる。
  「作用と反作用」を持ち出すのは、いまにはじまったことではありません。古い話になりますがぼくが東京・千代田区労協副議長をやっていたとき、「千代田総行動」というのが盛んでした。官民の労働者だけでなく、薬害スモンや大気汚染の公害などと闘っている人たちもいっしょになって、丸の内中通りのデモ(3万人を超えるひとたちが結集しましたね)や、経団連・大企業の本社、関係官庁、裁判所(最高裁まで)まで包囲したものです。
  その頃、事務局長をしていた水産庁労働組合のTさんが、ことあるごとに話していたのが「作用と反作用」だったのです。働く者が不当な攻撃をされたらその「力」以上の「力」ではね返すという趣旨でした。以来、この法則が好きになったのです。

 原発再稼動という「いのち」を無視する力に大して、「原発ゼロ」の力が湧き起こっています。「消費税増税と社会保障切り下げ」には、「増税NO!」の力が、TPP(環太平洋連携協定)にも、オスプレイの強行配備についても、「押し返す力」が働いています。16日には、「原発やめろ」「子ども守れ」の声が、ついに経団連を包囲しました。まさに、「作用」あれば「反作用」なのです。
  にもかかわらず、野田民主党内閣は国民各層の切実な「声」に耳を貸す気配はありません。「そのうち、反対運動も尻すぼみするさ」と高をくくっているのでしょうか。大手メディアが、国民の代弁者になりきれていないことを頼りにしてでもいるのでしょうか。

 いささか様相が違いはじめたのが領土問題です。
  「領土問題は存在しない」と繰り返すだけの野田内閣の姿勢に対して、日本共産党の志位委員長が政府と中国に提言した内容がインターネット上で話題になっています。「共産党支持ではないが見直した」「(共産党は)中国寄りだと思っていたけど思想は思想、事実は事実として明快」なお、書き込みが相次いでいるのですよ。
  『週刊朝日』(10月26日号)は「民主も自民も反省しなさい!志位和夫共産党委員長が教える尖閣・竹島・北方四島”領土紛争”の正しい解決法」として、志位さんのインタビューを大きく報じていましたよ。領土問題への「反作用」は、志位さん提言をきっかけにはじまっているみたい。
 
  総選挙間近といわれているのに、テレビ各局の政治番組のなんとピントはずれなことか・・・。
  番組に主に登場するのは民主と自民の議員だけ。有権者に考えてもらう「材料」を提供する連続した「各党討論」ぐらいは企画してもいいんじゃないですかね。
  「作用」する一方の側だけを伝える報道では、科学的ではありませんね。

 ◆ ついでに宣伝

   大船・九条の会 五周年のつどい in 大船
    真子masako・卓蔵 歌とトーク ジョイントコンサート

   日時 10月20日(土)13時30分開場
                14時   開演
    場所 鎌倉芸術館3F
      (大船駅東口から徒歩7分)
 
    参加費 900円 (高校生以下無料)

      九条の会にはちょっとそぐいませんが わけあって「愛と死をみつめて」からはじまります。
    第1回広島平和音楽祭で 美空ひばりさんの「一本の鉛筆」から、特攻兵士のエピソードのあ
    る淡谷のり子さんの「別れのブルース」・・・「巴里際」あり「さくらんぼみのる頃」あり・
    ・・「君死に給うこと勿れ」・・・東日本大震災をうたった「それは”約束”」などなんと全1
    8曲。アンコールだとどうなることやら。
    天気予報は「曇り」だそうです。興味のある方は ぶらっと立ち寄ってみてくださいませ。

真子masako プロフィル
               東京芸大声楽家卒
               日本テレビ朝の番組の中の「こころの歌」レギュラー出演がきっかけ
               で全国に知られるようになりました。
               豊かな声量、その社会性・・・おすすめの歌手です。

 


 

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