仲築間卓蔵/元日本テレビプロデューサ-/連載「六日のあやめ 十日の菊」(122)


あらためて「ハインリッヒの法則」 18/01/08

 民放関東シニアの会会報に書いたものの転載です。

 年の初めの「あけましておめでとうございます」に違和感をもちつづけていた。
 「めでたいかどうかは、終わってみなければわからない」というのが理由だったが、
ことしは、「めでたい年にしましょう」という「決意表明」と理解することにした。

 めでたい年にする条件の第一は「安倍9条改憲NO]「改憲発議させない」である。
 安倍首相は昨年12月19日(内外情勢調査会の講演で)「五輪が開催される2020年、日本が大きく変わる年としたい」と改憲に意欲を示した。

 自民党が描く改憲日程。(想定1)は、ことし1月の通常国会で発議、年末「国民投票」。
 (想定2)秋の臨時国会で発議、来年春に「国民投票」。
 (想定3)2019年はじめの通常国会で発議、夏の参院選と同時に「国民投票」である。

 日本世論調査会の世論調査(昨年12月実施)では、9条改憲反対が53%、改憲議論を「急ぐ必要はない」が67、2%である。
 「急いでいるのは安倍首相一人。多くの国民が臨んでいないものを、安倍首相の都合で決めて押しつけるのことは許されない」(1月4日、志位和夫・日本共産党委員長)。

 「2019年は天皇退位、皇太子即位の年なので改憲発議はないだろう」と見る向きもあるが、「そんな時期だからこそ」と安倍首相が考えてもおかしくない。退位と即位・・・メディアは好むと好まざるとにかかわらず大騒ぎすることになるからだ。最大の「めくらまし」(国民の目を反らさせる)ができる。

 いづれにしても、ことしから来年にかけては、これからの日本の方向を決めるかつてない大事な年になる。
 いま、「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」がとりくまれている。3000万というのは容易なことではない。日本がふたたび海外で「戦争する国」になるのはゴメンである。幅広い人たちに、様々な工夫で賛同してもらおう。

 めでたい年にする条件の第二は「沖縄」だ。
 ことしは国政選挙のない年だが、2月4日は名護市長選。聞くところによれば(これまで自主投票だった)公明党が全国動員をかけているという。かつて「平和の党」を自認していた公明党も、いまや「戦争する国」への道に舵を切ったのだろうか。
 昨年9月7日の神奈川新聞に、池田大作氏(創価学会名誉会長)が(治安維持法で逮捕された初代会長のことに触れながら)「核なき世界を 市民の声で」と題して特別寄稿していた。創価学会のみなさんはどんな感想をもったのだろうか。みなさんの中には「平和の党」に立ち返る想いの人がいるはずだと思う。必死に「全国動員」をかけているのは、政権与党にとり込まれている幹部だけ・・・・・と考えるのは楽観主義?かな。

 そして、秋には沖縄県知事選。平和な島・沖縄をとり戻すことは、平和な日本をとり戻すことと同義語である。

 あらためて、安全工学の『ハインリッヒの法則』(小さな異常を見過ごすと大きな事故につながる)を思い返している。
 いまわれわれの周りにおきていることは小さな異常ではない。このまま見過ごすことになるとしたら、大事態が起きる。そんな時代にわれわれは立っている。
 
 ことしもよろしくお願いいたします。