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■田中 隆 (弁護士 自由法曹団) 民意を切り捨てた強権政治への道
―比例定数削減と 「国会改革」 がねらうもの―10/01/13
2009 archives
■齊藤園生(弁護士・さいとう法律事務所)この国はどこに行くのだろう―日の丸・君が代訴訟を巡って―09/01/02
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■田所良平(弁護士・三多摩法律事務所)派遣村に現れた法的問題09/03/02
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■島田修一(弁護士・旬報法律事務所)ソマリア沖自衛隊派兵
09/03/25
■坂本雅弥(弁護士東京法律事務所)都議、都教委らの違法性を認めた七生養護学校事件判決 09/04/12
■秋野達彦 (弁護士・三多摩法律事務所)立川駅周辺の 「夜回り」 報告09/06/13
■齊藤園生 (弁護士 さいとう法律事務所)ソマリア紛争と 『ブラックホーク・ダウン』 09/06/30
■平井哲史(弁護士・東京法律事務所)派遣切り3態と派遣法抜本改正の課題
09/09/22
■福 山 和 人(弁護士・京都法律事務所)長時間労働の放置について
安全配慮義務違反による慰謝料請求を認めた判決09/10/10
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2008 archives
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2007 archives
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田中 隆 (弁護士 自由法曹団) 民意を切り捨てた強権政治への道
―比例定数削減と 「国会改革」 がねらうもの―10/01/13
民主党のマニフェストには、 「ムダづかい一掃」 のひとつとして 「衆議院の比例定数を80削減する」 と明記されている。 そうなれば、 衆議院は小選挙区300、 比例代表100の議席で構成されることになり、 ほとんど単純小選挙区制と変わらない。 民主党は、 多様な民意を反映する比例議席を、 「ムダ」 として切り捨てようしていることになる。
比例定数を100にして、 09年総選挙の投票数と得票率によるシミュレーションを行うとどうなるか (比例議席100は現在の11ブロックに比例配分)。
第1党になった民主党は、 42.41%の得票率 (比例)) で274議席 (68.50%) となり、 単独で3分の2を超える議席を獲得する。 第2党の自民党は、 議席数は減るが議席占有率はほとんど変わらない。 これに対し、 比例代表を中心に議席を獲得してきた第3党以下は致命的な打撃を受け、 比例議席は公明党が11議席 (実際の総選挙の結果は21議席)、 共産党は4議席 (同9議席)、 社民党は0議席 (同3議席) となる。
比例定数の削減によって、 民意がいっそう歪曲されて第1党がこれまで以上の 「虚構の多数」 を確保し、 第3党以下は制度的に抹消されていく。 そうなれば、 構造改革や自衛隊海外派兵に真っ向から反対してきた共産党や社民党の議席は切り縮められ、 市場競争優先の経済政策や日米同盟による安全保障といった同質の基本政策をもつ民主党と自民党に、 議席が独占されることになるだろう。 この 「同質の二大政党による議席の独占」 こそ、 単純小選挙区制に傾斜させる比例定数削減のねらいにほかならない。
比例定数削減に先行して、 さまざまな 「国会改革」 が動きはじめている。
① 内閣法制局長官を含む公務員 (官僚) の国会答弁を禁止し、 公務員を国会から排除するとともに、 憲法解釈を政権が独占する。
② 民主党議員の議員立法や国会での質問を抑制し、 内閣に議案提案権を独占させ、 国会を議案の追認機関に純化させる。
③ 国会の通年化、 委員会定数の削減、 常任委員会の連日開会化等によって、 国会が機動的に内閣提出議案を採択できるようにする。
④ 民主党議員の請願・陳情を政党本部 (幹事長室) に一元化し、 個々の議員を通じた行政等への請願・陳情を封じ込む。
実行の段階はさまざまであるが、 これらの 「国会改革」 は政権と政権党の権限を著しく拡大する点で共通しており、 比例定数削減と同一の 「論理」 に立脚している。
小選挙区制に傾斜した総選挙で直接国民に選択された政権党が、 政府 (内閣) を組織してすべての権力を行使する。 政権党と一体化した政権が議案提案権を独占し、 政権党が支配する国会はその議案をすみやかに可決する。 権力を託した国民は、 政権党が構成する政権の権力行使を観客として見守っていればいい。 そうすれば、 これで激動する内外の情勢に機敏に対応できる政治の断行が可能になる・・・これがその 「論理」 であり、 生み出されるのは、 政権と政権党が一体となって行う強権政治である。
いつか聞いたことのある 「論理」 だとは、 思われないだろうか。
「民意の集約」 や 「政権の直接の選択」 などを掲げて小選挙区制の導入を強行したのが、 1994年に強行された政治改革だった。 あれから16年、 小選挙区制のもとで新自由主義的構造改革と自衛隊海外派兵や明文改憲策動が続いてきた。 その改革の矛盾の噴出が、 自公連立政権に歴史的敗北をもたらした09年総選挙にほかならない。
だが、 財界を中心とする支配層は、 構造改革や改憲・海外派兵を決して断念していない。 国民的批判によって迷走と頓挫を余儀なくされた改革の路線を再編成し、 国民の対抗力を削ぎ取ったうえであらためて推進するために、 ふたたび政治改革が動き出している。
それこそが比例定数の削減と 「国会改革」 なのであり、 その帰趨は、 これからのこの国の政治に深刻な影響を与えることにならざるを得ないのである。