中村晋輔(弁護士・八王子合同法律事務所)/米軍構成員による犯罪の実態―良き隣人の素顔08/11/09


 

米軍構成員による犯罪の実態―良き隣人の素顔

 

 中村晋輔(弁護士・八王子合同法律事務所)

 

 2006年1月3日、神奈川県横須賀市において、出勤途中でたまたま通りがかった女性が、米海軍兵士によって凄まじい暴行を受けて現金を奪われるという衝撃的な強盗殺人事件が起きた。当該米兵は、横須賀を母港としていた空母キティホークの乗組員であった。

 

 当該米兵は女性に対し約10分間にも渡って暴行を続け、女性は肋骨が多数骨折し、腎臓及び肝臓破裂により出血死した。当該米兵は、横浜地方裁判所で無期懲役判決を受け、現在、服役中である。女性の遺族が、2006年10月、国及び米兵を相手として損害賠償請求訴訟を提起して、現在、横浜地方裁判所に係属中である。この訴訟の中で、国は「勤務時間外は在日米軍当局の指揮監督の枠外にある」などと主張しているが、米軍が実施している公務外犯罪防止のための制度などからみても、こうした理屈は通らないというべきである。

 

 この強盗殺人事件の後、在日米海軍司令官のケリー少将は、横須賀市長に対し、「あらゆる手段をとり、二度と起こらないよう適切な措置を行う」などと発言し、謝罪をした。それにもかわらず、神奈川県において米海軍構成員による犯罪が相次いだ。

 

 2006年9月17日には、横浜市において、揚陸指揮艦ブルーリッジ乗組員によるタクシー強盗事件が起きた(被害者が、2008年2月、国及加害米兵を相手として、損害賠償を求めて横浜地方裁判所に提訴した)。

 

 2006年11月2日には、横須賀基地ゲート前において、在日米海軍統合人事部人事部長による傷害致死事件が起きた(被害者の遺族が、2008年8月、国及び加害米軍属を相手として、損害賠償を求めて横浜地方裁判所に提訴した)。

 

 2007年7月5日には、フリゲート艦ゲアリー乗組員が、横須賀市において、女性2人を刃物で刺傷するという殺人未遂事件、2008年3月19日には、ミサイル巡洋艦カウペンス乗組員が、横須賀市において、タクシー運転手を刃物で刺殺するという強盗殺人事件まで起きた。

 

 このような米軍構成員による犯罪には、人殺し訓練を行う軍隊の本質が現れているし、軍隊の厳しい職務の中で兵士らがストレスをためているものとも思われる。米兵は、入隊後、ブートキャンプ(新兵訓練所)において、肉体面・精神面におけるトレーニングを受け、本物の兵士へと改造される。

 

 元米海兵隊員のアレン・ネルソン氏は、「昔もいまも、日本に駐留している米軍兵士の犯罪が減らないのは、人を殺すための集団という軍隊の本質があるからだと思うのです。」と述べている(新日本出版社「戦場で心が壊れて」)。米軍構成員による犯罪の実態をみれば、在日米軍をどうして「良き隣人」などと呼ぶことができるのであろうか。