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歌川学/研究者/科学レポート(2)/日本で広がる異常気象 温暖化の進行で激化が予想08/11/26

 

 

 

日本で広がる異常気象 

温暖化の進行で激化が予想

 

異常高温

 

都市部で頻発する異常高温

 

 最近、日本でも気温上昇が続き、高温記録の更新が続いている。2007年は埼玉県熊谷市、岐阜県多治見市で40.9℃を記録、1933年の山形市の記録を更新した。821の観測点のうち101地点で観測史上1位の記録を更新した。異常高温は熱中症などを増やし、老人や子供などの健康弱者に対しては健康被害に直結しかねない。

表ヒョウ 高温記録
順位 都道府県 観測所 気温[℃] 起日
1 埼玉県 熊谷 * 40.9 2007年8月16日
岐阜県 多治見 40.9 2007年8月16日
3 山形県 山形 * 40.8 1933年7月25日
4 和歌山県 かつらぎ 40.6 1994年8月8日
静岡県 天竜 40.6 1994年8月4日
6 埼玉県 越谷 40.4 2007年8月16日
山梨県 甲府 * 40.4 2004年7月21日
8 群馬県 館林 40.3 2007年8月16日
群馬県 上里見 40.3 1998年7月4日
愛知県 愛西 40.3 1994年8月5日
11 千葉県 牛久 40.2 2004年7月20日
静岡県 佐久間 40.2 2001年7月24日
愛媛県 宇和島 * 40.2 1927年7月22日
14 山形県 酒田 * 40.1 1978年8月3日
15 岐阜県 美濃 40 2007年8月16日
群馬県 前橋 * 40 2001年7月24日
17 埼玉県 鳩山 39.9 1997年7月5日
大阪府 豊中 39.9 1994年8月8日
山梨県 大月 39.9 1990年7月19日
山形県 鶴岡 39.9 1978年8月3日
下線は1990年以降  *は自治体観測所

 

 

異常高温と熱中症被害

 

 高温化にともない熱中症による死亡者数が増加している。1995年頃が高いほか、2000年以降、増加傾向にあり、400人もの人が亡くなる年もある。

 

1994年以前と死亡診断書の書き方が1995年に変化したこともあり、1994年以前とは不連続)。

 

図 熱中症による死者の推移

環境省「熱中症環境保健マニュアル」

 

 熱中症は、右図のように日最高気温が上がると急激に増加する。最近の異常高温で日最高気温が都市部で頻発するようになり、熱中症の被害が以前にもまして懸念されるようになってきている。

 

図 熱中症による死者と日最高気温の関係

 

環境省「熱中症環境保健マニュアル」

 

 

背景としての温暖化の進行

 

 

 都市部の異常高温の背景に、ヒートアイランドや各種気象状況とともに、温暖化の進行がある。2007年の日本の平均気温はは歴代4位の高さとなった。平均気温の歴代10位のうち9位までは1990年以降である。

これについては次号以降で詳しく紹介する。

 

 

「ゲリラ豪雨」、温暖化による被害の先取り

 

 

 「ゲリラ豪雨」、以前の気候では見られない、局所的な豪雨が頻発し、そのような名前で呼ばれるようになった。気象庁は数年に一度しかないような大雨(東京、愛知、大阪などでは1時間100mm、高知や沖縄の一部で120mm)の時に「記録的短時間大雨情報」を出して警戒をよびかけるようになった。

 

 

大都市にも広がる強い雨とその被害

 

 こうした豪雨は、大都市でも発生している。

 2005年9月の低気圧による豪雨で、東京・杉並区を中心に1時間112mmの「息苦しい」雨を観測、床上浸水1500戸、床下浸水1000戸の被害が出た。

 2008年8月5日の大雨では、山梨県の大月で1時間79mm、東京都千代田区でも59.5mmの雨が降り、都心では雨がコンクリート、アスファルトが多くあっというまに異常増水、豊島区で作業をしていた5名が下水に流され死亡した。

2008年8月末豪雨では、愛知県岡崎市で1時間雨量が146.5mmとなり、愛知県だけで床上浸水2300戸、床下浸水11000戸の被害が出た。

1時間80mm以上の雨を「猛烈な雨」としている。このレベルの雨は「息苦しくなるような圧迫感」「傘は全く役にたたず」「水しぶきであたり一面が白っぽく」なる状況で、雨による大規模な災害の発生する恐れが強い。従来から経験して来た「バケツをひっくりかえしたように降」り「道路が川のようになる」雨は、1時間30?50mm程度である。このレベルをはるかに超える雨が最近頻発し、従来から雨の多い地帯を超えて広がってきている。

 

図 全国および地域別の階層別降水量の経年変化

気象庁「異常気象レポート2005」

 

 

雨の激しさが増している

 

 気象庁では1901年から2004年迄の降雨を最小から最大まで10ランクに分け、経年変化率を出した(右図)。階数 10つまり最強の雨が増え、弱い雨が減って、雨の極端化が進行している。

 また、1時間降水量、日降水量の発生回数の統計をみると、強い雨の発生回数が徐々に上がっている。降水量自体は増えていないこととあわせて考えれば、ここでも強い雨が増えて、雨の極端化が進行していることがわかる。

 表に、1時間降雨量の歴代20位を示す。その12までが1990年以降に生じているだけでなく、沖縄や四国、紀伊半島など台風の通り道や雨の多い地域とは違う、都市部などでも強い雨が広がっている。

 都市部の豪雨は「ヒートアイランド効果」などのさまざまな要因がからんでいるが、将来の地球温暖化の影響を先取りしている。

 

 各地の被害や将来の被害予測、対策にわたり、温暖化問題を考えて行く。

 

 

 

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