秋野達彦 (弁護士・三多摩法律事務所)立川駅周辺の 「夜回り」 報告09/06/13


 

 

立川駅周辺の 「夜回り」 報告

 

秋野達彦 (弁護士・三多摩法律事務所)

 

  今年の初めに、 東京都の三多摩地域 (23区以外の地域) の弁護士有志が集まって、 労働問題や貧困問題に関するプロジェクトチームを結成した。 今後の対策を検討する前提として、 三多摩地域におけるホームレスやネットカフェ難民等の現状を把握しようと、 当事務所の田所良平弁護士とともに、 5月22日 (金) 午前0時から午前2時30分ころまで、 立川駅周辺においていわゆる 「夜回り」 をしてみた。

 

  「夜回り」 をした場所は、 マクドナルド5店舗、 ネットカフェ3店舗など。

 

  マクドナルドでは,それぞれ責任者と話をすることができた。 雇用情勢の悪化を反映してか、 昨年末からコーヒー1杯で夜を明かす客が増えたそうだ。 いわゆるマック難民と思われる客に対する対応は店によってそれぞれで、 退店を求める店が2店舗、 黙認している店が3店舗であり、 マクドナルド全体としてマック難民への対応を決めている訳ではなさそうだ。 立川駅周辺に限って言えば、 マック難民はいずれも高齢で、 50歳代後半から70歳代のホームレス風の人ばかりであった。 みな疲れた顔で、 それぞれ別の席に陣取って、 スポーツ新聞を読んだり、 仮眠をとったりしていた。 数人で集まって話をしていたのは1組だけであった。

 

  何人かに声をかけて話を聞いてみた。 「立川駅周辺のホームレスは、 40~50人くらいかなぁ。 」 「若い世代のホームレスもいるけど、 みんな年寄りが多いねぇ。 」 「日雇いの仕事や雑誌売りでお金がある時はネットカフェに泊まるんだけど、 お金がなくなるとマクドナルドに来てコーヒー無料券で夜を明かすんだよ。 」 「週末には公園で炊き出しをしている日もあるよ。 」 「みんな別々に行動していて、 仲間を作って何かすることはほとんどないね。 」 など、 気さくに話をしてくれる人が多かった。

 

  ネットカフェでは、 受付の従業員に話を聞くことができた。 会員制をとっている店は、 入会手続において身分証明書の提示が必要なこともあって、 ホームレスやネットカフェ難民はいないらしい。 他方で、 会員登録なしで利用できる店には、 毎晩のように大きな荷物を抱えて来店するネットカフェ難民が複数いるそうだ。

 

  今回の 「夜回り」 では、 派遣切りや非正規切りで仕事と家を失った若い世代の姿はなかった。 しかし、 昨今の雇用情勢の悪化により、 私たち弁護士の法的支援を必要としている若者は数多くいるだろう。 いかにして彼らにアクセスするかが、 今後の課題の1つである。

 

  また、 ホームレス支援を継続的に行っていくことも重要である。 先日、 「夜回り」 で声をかけて話を聞いた2人のホームレスから相談を受け、 それぞれ生活保護の申請に同行した。 生活保護に関しては、 「水際作戦」 や審査期間 (原則14日以内) の引き延ばしをはじめとする様々な問題が指摘されているが、 弁護士が申請に同行すれば、 これらの間違った行政の運用をその場で改善させていくことができる。 「健康で文化的な最低限度の生活」 を確保する取り組みを、 今後も積極的に続けていきたい。

以上