戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

政権による公務の私物化を許さない 17/06/18

明日へのうたより転載

 国政私物化の安倍政権のもとで、公務員は官邸のごり押しに振り回されている。職務に忠実になるとはどういうことか。国民に対する奉仕者としての任務はどう果たせるのか。公務員であること故の悩みは尽きない。その悩みや言い分は公務員の内部からは出しにくい。それを出させたのが公務員の労働組合だ。

 6月13日、国公労連が院内で開いた集会のタイトルは「加計・森友問題の徹底解明を求め、公務員・行政の私物化を許さない6・13緊急院内集会」。――「『公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない』(憲法15条)にもかかわらず、『一部の権力者の下僕になることを強いらる』(前川喜平文部科学省前事務次官)事態が続発しています。国公労連は、国の行政現場から、加計学園・森友学園問題の徹底解明を求めるとともに、公務の公正・中立性の確立を求めます」。

 14日付『赤旗』がこの集会の模様を報じている。写真によると会場の席は全部埋まっている。主催者挨拶は岡部勘市委員長。「核心は、政治権力によって公正であるべき行政がゆがめられ、税金が不適切に使われたのではないかということだ。国民の基本的人権、安全・安心を守る公務のあり方を根幹から揺るがす問題だ」。

 全経済産業労組飯塚盛康副委員長は「公務員を下僕のように扱い、問題が起きれば、個人に責任を押し付ける安倍政権に怒りの声をあげよう」と呼びかけた。国公労連鎌田一書記長は「首相官邸が幹部人事を握り、公務員が政権の意向に従わざるを得ない仕組みになっている」と指摘する。

 国公労連の集会案内によれば、このほか「”霞が関不夜城”の過労死ラインで懸命に働く職員への理不尽」「背景にある国家戦略特区と内閣人事局の問題点」などの報告があったはず。また菅官房長官を記者会見で追いつめた東京新聞の望月衣塑子記者も発言したと聞いている。

 労働組合の社会的役割は、企業経営のチェック機能だとおれは思っている。公務員労組の場合は行政のチェックだ。今回の国公労連の取り組みはまさに労働組合がやるべきことをきちんとやったということだ。労働組合の存在感が薄くなっている昨今、国公労連の努力に敬意を表する。