戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)

米のアジア経済支配に手を貸す日本 17/04/22

明日へのうたより転載

 トランプ米大統領の出現でとん挫したTPPの代わりを何にするか。アメリカは日本との2国間貿易協定を目指しているが、日本政府は「米抜きTPP」を考えていると言われている。「『米抜きTPP』へ転換」「日本 来月11カ国協議」(21日付『毎日』)。「米抜き」なんてほんとにあるのだろうか。

 この『毎日』記事を読んだ後で、『赤旗』日曜版(23日付)を開いたら「経済これは何?」という解説記事が目に入った。「RSEPの貿易交渉」「日本主導の過度な自由化に批判」の見出し。えっなんだこれは?おれは恥ずかしながらRSEP(アールセップ)なるものの存在を知らなかった。早速ネットで調べてみた。

 RSEP(東アジア地域包括的経済連携)の参加国はASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国とインド、中国、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランドの16カ国。域内人口は34億人で世界人口の半数を占める。2012年に第1回会合が持たれ、今年5月2日からの会合は18回目となる。

 RSEPとTPPを比べると①アメリカが入っていない、②中国、韓国が入っている、③ASEAN加盟のアジアの小規模国も含まれる、などの違いがある。おれに言わせてもらえば「アメリカ抜きで中国が入っているんならTPPよりこっちの方がよほどいい」となるんだがそれほど単純ではない。

 『赤旗』の解説によると、RSEPも自由貿易協定の一種だから「多国籍企業の活動をしやすくするため」の側面が強い。そこへもってきて最近さらに問題が生じた。TPP参加の日本、オーストラリア、ニュージランド、アメリカとFTAを結んでいる韓国が「TPPの中でも最悪の内容を持ちこんできた」というのだ。

 例えば種子の知的財産権を強化して途上国の農業に打撃を与えるとか、医薬品の特許権を強めてジュネリック医療品を入手困難にさせるとかの提案である。国境なき医師団は「世界中で何百万もの命が脅かされる」と警告する。あちらがダメならこちらでという多国籍企業の魂胆が見え見えだ。

 多国籍企業に自由な商売を保障するというのがTPP交渉におけるアメリカの狙いだった。トランプがTPPをふっ壊したのはその狙いを諦めたからでなく、物足りなかっただけだ。日本やオーストラリアを使ってRSET乗っ取りを謀っている感じがしてならない。日本の外交に「米抜き」は考えられないからだ。