戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)露骨!自衛隊駐屯地の見学ツアー 17/03/02

明日へのうた]より転載

 本2日付『毎日』の8面を開いて驚いた。驚いた後で背筋が寒くなった。阪急交通社の全面広告。「富士山ぐるっと一周ハイキング」「四国八十八ケ所お遍路の旅」「江戸城歴史ウォーキング」などと並んで「陸上自衛隊駒門(こまかど)駐屯地訪問ツアー」があった。露骨な自衛隊応援ツアーの広告だ。

 まず宣伝文句を見てみよう。「年に一度の!大迫力」「陸上自衛隊 創立記念行事」「戦車やヘリコプターが動く」「空砲射撃や各部隊が展開する迫力の模擬戦」「駒門駐屯地 普段は入ることができない自衛隊駐屯地へ!」「持ち運びに便利なおにぎり弁当付」「阪急交通社特製ミリタリーバッジ付」。

 惹句はまだまだ続く。「行事内容(2016年参考)◆模擬戦・アトラクション◆装備品展示◆記念式典◆模擬販売店」「1日のみの出発催行確定!出発日2017年4/2(日)6,990円」「旅程 各地発=高速道路=陸上自衛隊駒門駐屯地へご案内=御殿場(休憩、買い物)=高速道路=各地着」

 新宿出発コースには他にない特典が付く。「プレミアムコース 新宿出発のみ自衛隊OBがガイドする。OBだから語れる体験談 オフレコトークなど バス移動中も自衛隊に関する教養が身につく!」「元自衛隊員だからこそわかる記念行事の楽しみ方伝授!」。このコースのみ8,990円だ。

 「2016年参考」というから、どうやらこのツアーは毎年やっているようだ。そう言えば米軍横田基地の一部を住民に開放する日に合わせるツアーがあると聞いたことがある。基地内で分厚いアメリカンステーキを食わせるとかで人気があるようだ。「愛される米軍、自衛隊」の演出というわけだ。それにしてもバスの中で自衛隊OBの話を聞くことで「自衛隊に関する教養が身に付く」とは恐れ入ったな。

 「空砲射撃や各部隊が展開する迫力の模擬戦」というのだから、明らかに戦闘行為を想定した昔日の「陸軍大演習」ではないか。それを国民に見せて愛国心を鼓舞する。そのためのツアーを旅行社とタイアップして実施する。それを新聞社が全面広告として掲載する。国民は洗脳されつつあるのだ。

 教育勅語を暗記させる幼稚園があるというのにも驚いたが、日本会議とかいう妖怪が跋扈する今日、日本はまたあの軍国主義国家に逆戻りするんじゃないか。そんな心配が襲ってきた。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という日本国憲法はどこへ飛んで行ってしまったのか。