戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)沖縄誹謗のMXテレビ問題の本質 17/01/20

明日へのうた]より転載

 MXテレビが番組でデマを流し、沖縄への偏見をあおったとして問題になっている。「訂正・謝罪求め抗議」「東京MXテレビ前で市民」(20日付『赤旗』)。MXテレビってどこかで聞いたことがある。多分東京都が関係しているんじゃいかな。そんなことから改めてネットで調べてみた。

 MXテレビは略称(愛称)で正式には「東京メトロポリタンテレビジョン」。「TOKYO MX」ともいう。1993年に東京で6番目の民間放送テレビ局として設立された。他の局はいわゆるキー局だから東京エリアのテレビとしては唯一の局だ。新聞社との提携では、中日新聞が株主に名を連ねている。

 それまで東京都には他府県のようなローカルテレビ局がなかった。そこで当時の鈴木俊一知事や東京商工会議所などが「東京密着のテレビ局」をと公募した。メトロポリタンテレビはジャパンキャピタルテレビとの競争に勝って免許を与えられた。東京都は有力株主として経営に深くタッチしている。

 初代社長は当時の第一勧銀相談役の藤森鐵雄氏だったが、発足当初は経営陣の内紛が絶えなかった。1997年にエフエム東京の後藤亘社長が経営を握る。そのころからニュース主体の番組から一般娯楽や通販に重きを置くようになった。そこから今回問題にになったような偏向番組が派生してくるのである。

 「デマ・差別放送流した東京MX}「化粧品製造販売DHCが最大スポンサー」「ニュース女子制作も子会社」「極右論客登場番組作り続け」(20日付『赤旗』)。DHCの吉田会長は、当時みんなの党の渡辺嘉美代表に8億円を提供して話題になった男。今度は公共放送の番組を金で買ったというわけだ。

 今、ネットの進出で既存メディアの新聞もテレビ局もある意味で青息吐息である。札ビラで頬をはたかれたらどうなるか分からない。東電がメディアを取り込んで原発安全神話を日本中に流したように、金の力で情報・報道を操作する惧れがますます強まっている。今回のMXテレビ問題はその先触れだと思う。今でも有力株主の一画を占める東京都と中日新聞の責任は重い。

 イギリスで、EU離脱の風を吹かせたのはテレビのスポット広告だと言われている。「EU離脱が福祉を守る」と根拠もなしに繰り返した。国民は無批判にその宣伝に乗せられた。もし日本で憲法改悪の国民投票が行われるとしたら、恐ろしいのは金に任せて繰り返すスポット広告だとおれは思う。