戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)40年前の新聞労連「統一スト」 17/01/13

明日へのうた]より転載

 「英国労働者立つ」「航空・鉄道・郵便窓口・地下鉄・・・スト相次ぐ」「賃金引下げ、人減らしに反発」(13日付『赤旗』)。航空大手のブリティシュ・エアウェイズ(BA)、ロンドンへの通勤鉄道サザン・レール、郵便局、地下鉄などで今年に入ってからストが続いている。

 ストの課題は、客室乗務員の大幅賃下げ、鉄道の民営化にともなう車掌乗務の廃止、地方の郵便局閉鎖、地下鉄の人員削減などで、労働者への攻撃はどの国でも似たりよったりと言える。ただしその攻撃に対してストをうてる国と黙って受け入れざるを得ない国の差があることが悲しい。昔は違ったのにな。

 ちょっと待て、日本の労働組合も黙ってばかりいるわけではない。「月2万円、時給150円以上アップ」「国民春闘共闘が賃上げ要求決定」(同『赤旗』)。全労連小田川議長は政府の「働き方改革」を批判し「すべての労働者の実質賃金の改善、くらしを維持する賃金・労働条件にこだわる」と強調した。

 そうは言っても正直なところ、今の日本の労働組合にストをうって要求実現するだけの力量は無い。この前必要があって新聞労連東京地連30年史(1985年刊)をめくっていたら、76年春闘で新聞大手労組が「統一スト」をうつ記述があった。「統一スト」を前にした共立講堂での決起集会の場面だ。

 「当日は雨。しかもドシャ降り。もう駄目だと観念した。とにかく受付を作り、2階は閉鎖して1階の中央だけでも埋まればいいと考え、雨の中をやってきた先発組を無理矢理演壇正面に座らせた。ところがだ。あの比較的動員の悪い共同通信労組がストをうって集団でやってきた。

 会場近くの毎日労組からは『あれ、こんな人も』と私がびっくりするような労連嫌いの組合員も『やあ』なんて私に挨拶しながら受付にやってきた。朝日も読売も大動員。たちまち1階は埋まり、2階の階段を封鎖していたロープを取り外して2階へも上げた。会場は超満員の1700人。壁に沿って立ち見の人さえ出る盛況に私は唖然とした」。地連委員長のおれは思わず涙して感動したんだよね。

 さて3月31日の「統一スト」当日。読売が青年行動隊の指名ストと社屋前ビラ配布、日刊工業が15:30~16:30、毎日、共同、東京が16:30~18:00、朝日が17:00~18:00のスト決行。日経は午後6時から社屋前大決起集会。――いま思い出しても胸躍る1日だったな。