戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)海外旅行・済州島(2003年) 16/12/25

明日へのうた]より転載

 2003年の暮れも押し詰まった12月23日から26日までの3泊4日。メンバーは新聞の井川、石坂、民放の高岡女史、全税関の牛越夫妻、藤沢東京国公議長、元東京地評書記の神谷さん、それとおれたち夫妻。当時失業中だった二女の桃子も「私も行く」とついてきた。桃子は韓国に詳しいので添乗員代わりでもある。

 23日9:45に成田を発ち12:00に釜山空港着。現地ガイドと落ちあった後、観光名所の龍頭山公園へ。そこから釜山市場に回って夕方パラダイスピーチホテルへ。翌朝早い便で済州島へひと飛び。空港を出るとトルハルバンというユーモラスな石像が迎えてくれた。その足で4・3事件を記念した公園を訪ねる。

 第二次世界大戦が日本の降伏で終結し、朝鮮は解放されたが、ソ連とアメリカによる分割占領で複雑な国情にあった。1948年4月、済州島で朝鮮労働党が指導する武装蜂起が起こる。それを弾圧するため韓国軍が島に入り住民の虐殺が始まる。最終的には島民30万人のうち6万人が殺されたという。

 済州島での宿泊はグランドホテル。そこに2泊して島内をバスで観光した。済州島には1年前に開催したサッカー・ワールドカップのための立派なグランドがある。今はひっそり静まり返っていた。民俗村はソウルのものよりスケールが小さいが素朴で心和む施設だった。暖かくてコートを脱いで歩いた。

 自由行動(つまり食事代は自分持ち)なのにガイドの女性がついてくる。昼飯も夕食も自分の管轄の店へ連れて行く。明らかに店からリベートをとっている様子だ。桃子が韓国の友だちに勧められた焼き肉の店があって、そこへ行くと言ったら極端に嫌な顔をした。それでもついてくる。

 桃子の友だち推薦の焼き肉店は座敷とテーブルが3つほどの小さな店構え。おれたち10人で座敷を占有した。豚の焼き肉とチゲ鍋の料理は今まで食べたことのないうまさ。店に置いてないので、わざわざ買いに行ってくれたマッコリがまた美味だった。それで昨夜の3分の1の値段。みんな大喜び。桃子の面目躍如。親のおれもしたり顔でにこにこ。くだんのガイド女史だけが終始苦虫をかみつぶしていた。

 26日もゆっくり島内を見て回って、18:20に済州島を飛び立って20:35に成田に着いた。この旅行で一緒だった国公東京の藤沢さん。翌年定年になったが癌が発見されて2年ももたずに亡くなった。あんなに元気に焼き肉を食い、マッコリを飲んでいたのに人の命ってはかないものだ。