戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)トランプに約束?カジノ法案成立 16/12/15

明日へのうた]より転載

 「カジノと国会」「また政治不信が募った」(15日付『毎日』社説)「立法府の権威を自ら汚すに等しい会期末のドタバタである」「推進派もカジノ解禁の副作用を認める中、乱暴に議論を進める必要などなかった」。なぜ乱暴に進めたのか。カジノ推進の維新の会への配慮からと言われているがそればかりではなさそうだ。

 青山学院大学講師の高橋宗瑠氏はブログで次のように述べている。「内容が明かされない安倍首相とトランプ大統領の会談ですが、首相が帰国すると急激に再浮上したのがカジノ解禁法案です。実はトランプ氏の一大ドナーにはシェルドンアーデルソンというアメリカのカジノ王がおり、日本のカジノ参入を数年前から公言しているという事実がある。これを単なる偶然と思えないのは勘ぐりすぎでしょうか」。

 そう言えぱこのカジノ法案、11月初めまでは「審議入りはするが今国会での成立は困難」との見方が大方だった。ところ安倍首相は、トランプ氏と会談(11月17日)して帰国したとたん乱暴な手法で審議を進め、とうとう成立させてしまった。2度にわたる会期延長ももしかするとTPP批准や年金法改悪のためではなく、このカジノ法案を成立させるためではなかったかと思えるほどだ。

 カジノが解禁されると資本もノウハウもアメリカからどっと入ってくる。トランプ氏と深い関わりのあるアーデルソンらの腕の見せ所となる。カジノ処女地の日本は彼らにとって荒稼ぎの漁場なのだ。

 「カジノ関連の主な顧客は外国人観光客ではなく、日本人の富裕層。海外カジノ業界の大物が駆け付けた国際会議では『日本人の富裕層の個人金融資産量』を『日本に出来る推定カジノ施設数』で割り、『海外に比べて日本の一つのカジノ当たりの個人金融資産量は突出しているから日本のカジノは莫大な利益が確実』と投資を呼びかけていました」(12月9日付『週間金曜日』大谷大学滝口直子教授の話)。

 カジノ施設の呼び込みに熱心なのは松井一郎大阪府知事だけではない。横浜市の林文子市長や東京都の小池百合子知事も候補地に名乗りを上げそうだという。そうなれば富裕層だけでなく一般庶民もなけなしの老後資金を巻き上げられることにもなる。さらにカジノはラスベガスでやられているようにホテル、レストラン、劇場を含む巨大な総合娯楽施設になる可能性がある。周辺の日本旅館や居酒屋などはひとたまりもなく潰される。まさに売国奴的法案なのだ。