戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)自民党、連合の政策協議に思う 16/12/07

明日へのうた]より転載

 ネットのNHKニュースウェブに、自民党本部で5年ぶりに行われた自民党と連合の政策協議の模様が載っている。自民党からは茂木政務調査会長ら、連合からは逢見事務局長らが出席した。自民党と連合は民主党政権以前は定期的に会合していたが、この5年間はパイプが途絶えていた。「同一労働同一賃金」「働き方改革」などを掲げる安倍政権だがこの時期、パイプを繋げる意味は何なのか。

 果たしてどんな協議だったのか。NHKニュースウェブの記事によって見てみよう。
  連合の逢見氏は「大きな影響力を持つ自民党との意見交換は大変ありがたい」と述べ、労働者の雇用の安定やすべての世代が安心できる社会保障制度の確立などを要請しました。

 これに対して茂木氏は「連合の政策にもっとも近いのは自民党ではないかと自負している。労働界を代表する連合との意見交換を通じて、働き方改革などの実現につなげていきたい」と応じ、協議をつづけていきたいという考えを伝えました。

 協議が終わって記者会見した逢見事務局長は「相撲でいえば、お互いの感覚が一致して、立ち合いができた。自民党とは政策面での距離感は無く、特に雇用や労働、社会保障の面での問題意識は、自民党も同じであり、来年は、もう少し早く行いたい」と述べたという。

 連合という労働組合のだらしなさについて諦観しているはずのおれも正直改めて驚いた。逢見事務局長は中小企業や非正規労働者も組織しているUAゼンセン出身だ。その彼が、自民党と「感覚が一致した」とか「政策面で距離感がない」とか「雇用、労働、社会保障の政策が同じ」とか平気で言う感覚。いったいどうなっているんだろう。自民党に対するすり寄り以外の何物でもないとおれには思える。

 この点、自民党の方が上手(うわて)だね。「連合の政策にもっとも近いのは自民党」と言って憚らない。共産党を含む野党共闘に前向きな民進党をけん制し連合を抱き込む意図が見え見えだ。連合は協議の席上「雇用の安定や安心できる社会保障」を要請したではないか、と言うかも知れないが、雇用も社会保障も根底からぶち壊そうとしているしているのが自民党ではないか。自民党へのすり寄りは労働者への裏切り行為だ。