戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)日本のトランプ観はあいまいなのでは 16/11/16

明日へのうた]より転載

 米大統領選でトランプ氏が当選。当の米国民だけでなく世界中の人々がびっくりしたようだ。「大変なことになった、が率直な感想です。私は、彼は大統領選では勝てないと見ていましたから」と述べた元海兵隊員C・ダグラス・スミス氏の言葉(12日付『赤旗』)あたりが正直な心境といったところだろう。

 しかしびっくりしたままではいられない。今後どうすればいいのか。15日付『赤旗』は①民主党の候補者指名争いで善戦したサンダース上院議員、②進歩派の映画監督マイケル・ムーア氏の発言を紹介している。2人とも反トランプの姿勢を鮮明に打ち出し、たたかう方向を示している。

 サンダース氏=中間層の没落や貧困への怒りは、それをつくりだした人々へ向けられなければならない。「この怒りをイスラム教徒やヒスパック(中南米系)、女性といった身近な人々に向けてはならない。私はそれに反対するためあらゆることを行う」。トランプ氏の差別的言動には国民と共にたたかう。

 マイケル・ムーア氏=「トランプ氏に反対する運動を主導する1人になる。彼を止めるのだ。ウォールストリートを占拠した運動を小さく見せるほどの、数百万人規模の大運動になる」「彼はどんな思想も持ち合わせていない。彼が唯一信じるのは、ドナルド・トランプ(自身)だ。それは政権から追われる片道切符だということだ」「(ムーア氏は)トランプ政権打倒の先頭に発ち上がると宣言しました」。

 11日付『毎日』によれば歌手のマドンナさんも「希望を失うな。私たちは立ち上がる。新たな火がついた。私たちは決してあきらめない」とたたかいの決意を述べたという。まだ大統領に就任もしていないのに、「政権打倒」を突き付けられたのは米大統領史上でも初めてなのではないかな。

 こんなに明確な民主主義の破壊者に対して、日本の世論は少し見方があいまいなような気がする。彼は日本の米軍基地を引き払うようなことも口走っているが、そのように脅かして日本にさらなる負担と軍事的協力を押しつけようとしているに過ぎない。日本を属国にするつもりだ。断固反トランプで行くべきだとおれは思う。