戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)最後の楽園バリ島から② 16/11/09

明日へのうた]より転載

 静かなパリだが、首都ジャカルタは騒然としているらしい。アホック・ジャカルタ特別州知事のイスラムコーラン冒涜発言に抗議するデモの後遺症が収まっていないらしい。4日のデモでは群衆と警官隊の双方に250人の負傷者が出た。11月7日付の『じゃかるた新聞』が警察発表として報じている。

 「『背後に政治勢力』」「一部暴徒化デモで大統領」。ジョコウィ大統領が5日、記者会見で「事態を利用した政治勢力がいたと理解している」と述べた。光森さんによると日本大使館すじからホテル経営者にイスラム系過激派に注意するよう伝達があったそうだ。ま何が起こるか分からない世界だからね。

 『じゃかるた新聞』の解説記事によれば。インドネシアにおける歴史的デモは過去に2回あったという。一つは1974年の田中角栄首相公式訪問に対する反日デモ。実際はスハルト政権内部の権力争いが原因だったというが、在インドネシア日本人は震え上がったようだ。そんなこと知らなかったな。

 二つ目は98年5月のスハルト政権打倒を叫ぶ数十万人に膨れ上がった民衆デモ。デモを組織したのは闘争民主党で、揃いの赤シャツが市内大通りを埋め尽くした。見物の一般人もこぞってデモに加わったという。多分そのデモでスハルト軍事政権が倒れたのじゃなかったかな。

 おれの認識では、現ジョコウィ大統領はスハルト政権を倒した闘争民主党の流れをくむように理解している。そのジョコウィ大統領は問題発言のアホック知事を国家警察犯罪捜査局に出頭させて、事情聴取をすることにした。その模様は異例のメディア公開されるという。犯罪捜査局とは恐れ入ったね。

 「イスラム教徒は国民の9割を占めている。選挙はもとより政治的発言力は黙っていても大きい。コーラン侮辱問題に関する捜査の結果次第ではあるものの、ジャカルタ特別州知事選挙の行方は分からない」(『じゃかるた新聞』解説記事)。問題は今後も尾を引きそうだが不測の事態だけは避けたいものだ。

 今日も暑い。明け方ひと雨あったようだがおれは気がつかなかった。これからカンプンカフェに行って昼飯を食ってから世界遺産の棚田を回ってくる。夜は影絵芝居だ。バリ島3日目は事もなく過ぎてゆく。日本は寒いだろうね。こっちはじっとしていても汗がにじむ。それではまた・・・。