戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)海外旅行・韓国(2000年) 16/10/01

明日へのうた]より転載

 それまでの俺は韓国と聞くとあの朴正煕に代表される軍事独裁国家のイメージが強く、毛嫌いしていた。それが1998年に金大中が大統領になり、国内の民主化や北朝鮮との話し合い路線など大分風向きが変わってきた。そんな話を仲間内でしているうちに「じゃ試しに行ってみるか」ということになった。

 10月30日から11月2日までの3泊4日。メンバーは新聞の井川昌之、山口文昭と元東電原告団(群馬)の小林智、国際人権の田中貞子、それと戸塚夫妻の6人。航空券とホテルの手配は日本旅行勤務の桃子にしてもらった。成田発11:20でソウル金浦空港着13:50。女性のガイドが出迎えた。

 宿舎は市庁舎裏のニュー国際ホテル。最初そこまでの案内という予定だったが、マイクロバスの中でガイドに勧められ「1人1万円で3日間マイクロバスで市内案内」という契約が成立。むろん食事、飲み物、施設入場料などは実費清算だ。到着日は仁寺洞での夕食だったがマッコリの旨さにびっくりした。

 2日目の31日午前は昌徳宮、宗廟などのお寺巡り。午後、小林さんが戦争記念館へ行きたい言ってみんなで行ったが、朝鮮戦争やベトナム戦争の展示ばかりで面白くない。どうやら小林さんは日本の植民地時代の朝鮮人民のたたかいを記念した独立記念館を希望したのだがガイドに通じなかったらしい。

 翌日はロッテワールドとかソウルタワー、南大門市場など誰もが行く観光コースを回る。小高い丘の上にあるソウルタワーに上り街ヘ降りてくる途中に安重根義士記念館があった。安重根は1909年、満州のハルピン駅で伊藤博文を暗殺した「義士」である。あそこへ寄りたいと言ったらガイドが不思議そうな顔。日本人観光客でここを見たいというのはよほど珍しいらしい。

 この日の昼飯に入った街中の食堂で食った「蛸の刺身」には驚いた。ドンブリに入ったイイダコの足がまだピクピク動いている。口の中に入れると吸盤が粘膜に吸い付く。田中さんが「キャー」と言って目をつぶった。しばらく夢に見てうなされたそうだ。南大門市場は広くて混濁していて庶民的で気に入った。

 11月2日、金浦空港13:30発、成田17:00着。初体験の韓国ソウルはマッコリのおいしさとともに忘れられないものになった。この旅行がきっかけになって、その後仲間内や家族旅行などでさらに6回も行くことになる。やはり聞くだけでなく実際に目で見ることは大切だということだ。