戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)海外旅行・イタリア北部(1999年)⑤ 16/09/24

明日へのうた]より転載

 「はいそれでは横田さん」。横田「素晴らしい旅でした。まだローマの3日間が残っています。よろしく」。「真面目な感想ですね。次はビバ・スガノ」。菅野「トリュージャナカダビバジャポーネ。それでですねおいしいのはヴィノロッソ、ビアンコ。みんな元気よ」。ここで際限なく続く馬鹿話に愛想を尽かした女性陣が退散。

 「これから徹夜で飲みましょう!ウソです」。小倉「以上皆さんのカンソーネでした」。「それでは満天の星とお月さまを相手にロッソロッソ飲みましょう」・・・「深夜の街を探険してきた萩原さんが戻ってきました。どんな冒険があったのですか」。萩原「もう道が全然分からなくて、露店の花屋で道を訊いてやっと帰ってきました。なにしろ歩きっぱなし」。「それじゃイロケも何もないじゃない」。

 萩原「ホテルのフロントで部屋番号言ったらカギがない。11階まで上ったがドアが開かない。またフロントまで降りて『マイフレンドノ―』と言ったら10階のバ―にいるという。初めからそう言えばいいのに」。「うまいね、このロッソ。渋さが何とも言えない」。――この深夜の宴会は楽しかった。しかし参加者8人のうち佐藤、小倉、菅野、横田の4人がその後10年を経ずして幽界へ旅立つ。無常だね。

 21日午前はヴァチカン見学。ミケランジェロの壮大な天井画が凄い。サンピエトロ寺院、コロッセオ、カラカラ浴場、真実の口などを巡ったが途中で激しい雨。それでもコロッセオに入場してスパルタカス時代の往時を偲んだ。真実の口に右手を入れて「ギャー」と叫んだのだが皆にはあまり受けなかった。

 「10月22日金曜日。ローマ最後の日です。スペイン広場の階段を上ってきました。上から見下ろすとローマの街が広がっています。今日でイタリア旅行も終わりです。のんびりと12日間、意義のある旅行でした。やはりヴェネチアが一番よかったかな。あそこの風景は格別だからね。フィレンツェは美術館ぐるぐる見て回って、それなりに勉強にはなったけれども、ちょっと疲れたな」。

 23日朝ローマからミラノへ飛び、乗り継いで成田へは24日8:55に着いた。おれはこの旅行で会計担当を務めた。皆から3万円ずつ集めてレストランの支払いや、美術館の入場料などに充てた。この会計業務が結構大変で、ホテルのロビーや空港待合室などで電卓をたたいた。おれはその後海外ツアーを企画したが、このイタリア旅行の経験と苦労が活かされていると思っている。