戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)海外旅行・北京(1999年)① 16/08/21

明日へのうた]より転載

 映演共闘の舞台美術関係組合が計画した「北京で京劇を見るツアー」の誘いを受けた。映演労連の堀江さん夫妻、東宝舞台の林さん、舞台美術労組の久保田さん、わらび座の幹部など、おれたち夫婦を入れて15人ほどののメンバー。99年1月4日~8日の4泊5日。北京は震え上がる寒さだった。

 4日の12時半、14:55発の北京行きに乗るべく成田空港に集合したが、北京が濃霧だとかで一向に搭乗案内がない。やっと出発したのが18:15。いい加減くたびれた。北京空港へは20:50に着く。10時半にホテルに入り、夕食後堀江さんの部屋で午前1時までわいわい。よく飲むよ。

 5日は市内見学。93年に北京に来た時と同じような観光コースなので感激はない。万里の長城を歩かされて息も絶え絶え。昼飯は観光客向けのレストランで中華弁当風の料理とビールと56度の中国酒。おれはアルコールさえ出れば満足だが、女房は料理がまずいとぶうたれていた。バスは一路北京へ。

 バスから見える中国の看板。地鉄=地下鉄 行人=通行人 電脳=コンピューター 汽車=自動車 飯店=ホテル 酒家=レストラン 修車=自動車修理工場 自行車=自転車 美館=美容室 服装店=洋品店 食品商場=市場 公司=会社 汽車配転=宅急便 正宗=元祖 電視台=テレビ 美国=アメリカ。

 街を覆っているのは霧でなくスモッグらしい。夕食は北京ダックだったが、そんなにうまいものではない。夜の8時過ぎからホテル内の小劇場で京劇を観る。軽わざもどきの舞台は変化があって面白かった。それに音楽がいい。太鼓と鉦が雰囲気を出す。舞台の隅に漢字の解説板があってあら筋が分かる。孫悟空が活躍する。大変スピードのある演技。訓練で築かれた芸の確かさ華やかさには魅了された。

 翌日、昼は天安門や天壇公園などの市内見学、夜は京劇。今度は市内の本格的な劇場。初めはなんだ高級見世物じゃないか、なんてたかをくくっていたおれも心底ぐぐっと来たね。なんていうか中国という国の文化の奥深さを思い知らされた感じ。そりゃそうだよね、中国3千年の歴史が詰まっているんだものな。

 北京到着時は朝でも3度くらいだった気温が、今朝は零下6度。バスから外へ出ると震え上がる。この旅行のために厚手のコートを買ってきたよかった。明日7日は京劇訓練学校を訪問する。