戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)人並みに墓参りをしてきた 16/08/16

明日へのうた]より転載

 昨日、先祖の墓参りに行ってきた。墓のあるのは茨城県常総市。常総市は去年鬼怒川の氾濫で水害に見舞われ、全国に名を知られたが、おれには合併する以前の水海道市という方がピンとくる。墓のある大生郷町内久根地区は鬼怒川から5キロ以上も離れていて、しかも高台なので水害とは無縁だった。

 おれは敗戦後満州から引き揚げて9歳から18歳の高校卒業までここで暮らした。父母ともにここの出身なのでかなり立派な先祖の墓がある。父が死ぬ前に改修したが、墓石などの主要部分は父の祖父が建てたままだった。2005年2月、父の23回忌、母の13回忌を祈念してボロボロになった墓を建て替えることにした。

 これがなかなかの事業で、石材店への支払いや寺の坊さんへのお布施などで総計200万円ほどかかった。おれの姉妹や親戚を呼んでお披露目の法事を行った。父母の生前、親不孝ばかりしていた分の心ばかりの供養のつもり。ま、いつかはおれも入るのだから自分のための投資でもある。

 墓参りには、基本的には8月のお盆と春の彼岸の2回行く。女房が車を運転してつき合ってくれる。これは助かる。水海道には母の兄弟など親戚がたくさんいたが次々に亡くなって、今行き来しているのは母方の実家だけ。50代のいとこ夫婦が跡を継いでいる。墓の管理もこの夫婦に頼んである。

 昨日は9時に家を出て、国道6号線を柏の先で左折し、以前は有料だった新利根橋を渡り、ふれあい道路を守谷経由で水海道へ。約1時間半で墓地に着き、線香と仏花を供えて墓石を洗う。小便が溜まっていたので墓地の隅でそっと出す。この罰あたりめとご先祖さまに叱られそうだ。

 いとこの家に寄り、ご馳走とビールの歓待を受ける。1時間ほど昔話などする。では、と席を立ってかねて約束していた中学、高校の同級生の家へ。車で7分ほどの大輪町。敷地1000坪、長屋門のある大邸宅だ。つい先ごろまで田んぼをやっていたが、いまは野菜づくり程度で悠々自適。高校時代から俳句を詠み、最近句集を刊行した。郷土文化史研究では一目置かれている。しかし話し出すと昔と変わらない。

 奥さんの手料理でビールをぐびぐび。話題は死んだ昔の同級生や恩師の思い出。来年は80歳になるおれたちはもはや長生きの部類に入ったようだ。最後によばれた手打ちそばは絶品だった。昼前からのアルコールざんまい。我慢できなくなり、帰りの助手席でうとうとしたら運転している女房に叱られた。