戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)海外旅行・フランス(1998年)③ 16/08/14

明日へのうた]より転載

 5月4日午前、CGT/AF労組を訪問して争議解決の報告をした。組合事務所はドゴール空港に隣接する巨大なAFビルの3階にあり、3人の本部役員が応対した。その1人ボンヌフス書記長は「皆さんのたたかいの勝利は、私たちにとっても大きな勝利です」と歓迎してくれた。暖かい人たちだった。

 正午過ぎに会談が終了し、すぐさま社員食堂前で仏文のビラを配布した。ほぼ全員が受け取ってくれた。美人のパリジェンヌに「メルシー」と言われるとおれなんかどぎまぎしてしまう。用意した800枚のビラはまたたく間になくなった。午後はパリ市内に戻りCGT本部へ。ここでも歓迎され、昼間からのワインですっかりいい気持に。夜はパリ在住の通訳で活動家の福間憲三さんも加わって盛大に飲んだ。

 5日はフランス中部の町ディジョンへの移動だ。「これから新幹線に乗って、ディジョンへ出かけます。パリのリヨン駅を8:54に発って10:34にディジョンに着きました。パリと違って空は晴れ渡り、風もさわやか。大型バスに乗ってこれからホテルに向かいます。新幹線は快適でした」。

 「ディジョンの街の中心部のようです。凱旋門があってバスの停留所に人が待っています。車の路上駐車もパリよりは少ない感じです。日差しが強いですね、パリの寒さが嘘のようです。ホテルメルキュールに着きました。世界に展開するホテルチェーンですね。大きくてきれいですが何の変哲もありません」。

 「フランスでの子どもの日が過ぎようとしています。午後7時15分です。8時集合でレストランに行くことになっていますのでもうしばらく部屋にいます。ディジョンに来て人数が9人に減ったので、私は1人部屋。今バスに熱い湯を張ってゆったり浸かって浴衣を着て寛いでいます」。

 「フランで5日間過ぎたわけですが、昨夜も福間さんと話しましたがフランスでも日本と同じ利益第一主義が目立つそうです。EU統合でこれまでと違った経済環境にもあるようです。結果的には労働者に対する搾取・収奪は強まっている。失業者の増大も深刻な問題になっていて、200万人を超える失業者をどうするのか。まさに生存権が脅かされる。そう言えばパリ市内あちこちにホームレス的な人がおりますし、地下鉄車内で『家族が飢え死にしそうだ』と演説してお金をせびっている人も見かけました。職についてる人たちもなかなか大変らしく、不安定雇用の増大、いつクビになるか分からないという不安の中で仕事している人も多くいます。サービス残業だとか、資本に縛られた強制労働もあるようですが、なにせ個人の権利を尊重する国柄ですから、そう簡単には資本の側も思う通りにはいかない。そういう面もあるようです」。