戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)海外旅行・フランス(1998年)① 16/08/08

明日へのうた]より転載

 エールフランス航空の賃金差別争議が98年3月、都労委で和解協定が結ばれ勝利解決した。AF争議支援共闘会議か争議を支援してくれたCGT/AF労組へのお礼と解決報告に訪仏することになり、都労委で事件の担当委員だったおれにも誘いがかかった。AFの小林、川崎、山根、支援共闘議長の鴨川さんら10人がメンバー。4月30日~5月11日の12日間。往復の旅費は支援共闘が負担してくれた。

 30日、成田発12:00のAF機でフランスへ。午後パリに着き、モンパルナスのセントラルホテルにチェックイン。AF争議団が常宿にしている二つ星の古風なホテルだ。近くの公園にはパリ占領のナチスとたたかったレジスタンス英雄の像がある。その夜はたっぷりワインを飲んで翌日パリメーデーに参加した。

 「メーデーに出発しますが、寒いです。そうですね、日本の3月の初旬くらい。風が冷たいです。今年のパリは4月に入ってからずっとこんな天気が続いているそうです。今日は5月1日で祝日です。スズランの花を街かどで売っています。地下鉄に入ります。地下鉄の回数券は10枚で48フラン、大体1000円ちょっと、日本の地下鉄より安い感じですね。パリの地下鉄はゴムタイヤの車両です。

 シャトルで乗り換え。やおら車両に楽団。地下鉄の会社に許可を受けているそうです。演奏が終わるとお金を集めています。メーデーの会場にきました。大変な騒ぎです。CGTと独立系の組合の会場です。集合地点の銅像によじのぼって旗を振る労働者がいます。トラックに乗った楽団が演奏を始めました。

 ジャズのリズムで盛り上がっています。ソーセージを売っている屋台があります。ピエロの扮装。ほんとにお祭りです。一向に行進が始まる気配がありません。もう2時を過ぎました。シュプレヒコールをしているのは失業者の組織で、35時間労働制による雇用の創出を要求しているんだそうです。

 2時35分、やっと動き出しました。通りをいっぱいに広がっていわゆるフランスデモです。それぞれにプランプラン、タランタラン勝手に歩いています。ポリスの労働組合もいます。子ども連れもいます。相変わらず元気のいいのは失業者の集団です。道の両側のアパートからにこにこして見下ろしています。

 テレビ会社のリポーターがマイクを差し出して意見を聞いています。インタビューに応じる早口の人は何を訴えているののでしょうか。もうすぐ3時半ですがまだ行進中です。終点に近づくにつれてデモの人数が増えている気がします。沿道から拍手を送る人がいます。もう4時になりますが、相変わらずテレンコテレンコ歩いています。ちょっと路地裏を見たら、身を固めた警察隊が待機していました」。