戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)海外旅行・トルコ(1997年)② 16/08/04

明日へのうた]より転載

 クシャダスに2泊して27日にバスでカッパドキアへ行った。峠から見下ろした奇岩の列には驚かされた。巨大なキノコがニョキニョキと。世界にはこんな風景もあるんだな。泊まったのは洞窟を改造したホテル。ちょっと狭いけどめったにない貴重な体験だった。翌日は5世紀頃造られた地下都市に潜った。

 アラブ民族がキリスト教国を攻めるためトルコを通ってヨーロッパに行こうとした。トルコのキリスト教徒はカッパドキアの洞窟に籠る。ここがその地下住居だ。地下8階まである。屈んで歩かなければならない狭い地下道を昇り降りしてやっと地上に出られた。「生きていてよかった」とテープに吹き込む。カッパドキアには2泊。強烈な印象を胸に29日、イスタンブールに戻った。

「イスタンブールの夜8時、繁華街を歩いています。レトロな雰囲気の路面電車が人間の歩行と似たり寄ったりのスピードで走っています。本屋で地図を買いました。この雰囲気はいいですね。歩行者天国なのか道いっぱいに広がって若者が歩いています。CD屋から音楽が流れています。ゲームセンターがあります。雰囲気は日本と変わりません。マクドナルドがあります」。

 歩き疲れて、みんなでとある居酒屋風の店に入った。賑やかに音楽を演奏している。昔、江利チエミが歌っていたあの「ウシュクダラなんとかかんとか」という曲だ。ビールとヤクを飲んだらこちらも陽気になった。徳島から来た女性たちは阿波踊りを踊り出す。もう大変な騒ぎだ。トルコは親日的だというが、ほんとにそうだ。ま、金を気前よく落とすからだろうけどね。市場を歩いていると「持ってけドロボー」なんて声もかかる。おみやげ屋に連れていかれ、高い絨毯を買わされたメンバーもいた。

 地中海と黒海を結ぶボスポラス海峡、巨大なモスク、幻想的な地下宮殿など名所もいろいろ見学したが、やはりおれには市場や居酒屋でその国の人と接するのが一番。それと美味しい酒だよね。

 イスタンブールにも2泊して31日にトルコと別れ、パリ乗り換えで6月1日8:15に帰国した。このトルコ旅行はことのほか俺は気に入った。パリやロンドン、バルセロナやリスボン、中国やベトナム、ましてやニューヨークやワシントンDCとは一味違った異国情緒を満喫できた旅だった。