戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)海外旅行・ベトナム(1996年)② 16/07/24

明日へのうた]より転載

 結局島(ライオン島)の観光売店で果物をふるまわれ、宣伝に乗せられてみんなお土産を買わされた。おれは1本2ドルのコプラ酒を買った。試飲した時はからだに効きそうな気がしたが、帰国して飲んでみると薬臭くて飲める代物ではなかった。島の水路を6人乗りの小舟で下ってメコン本流に出、待っていたクルージング船に戻る。船はそこから帰路につき、出航した船着き場へ。1時にバスに乗り換える。

 メコン河畔の町ミトのレストランで海鮮料理の昼食を食べた後、ホーチミンへ。突如スコール。たちまち道路が川のようになる。物凄い渋滞。30分全然動けない。路線バスから人が降りて歩き出す。水しぶきをあげるバイク。やっと市内に入りスーパーやお寺に寄る。ホテルに着いたら夕食の時間だった。

 8月21日、統一会堂(旧大統領官邸)見学。「いま統一会堂の地下にいます。地下放送局があります。秘密の入り口がありますね。大統領さんが戦局危うくなった時に寝る宿直室、実は奥さんと喧嘩をした時に寝たのではないかという説明でした。こんなところに逃げ込むようになったらおしまいだな」。

 午後はクチへ。べトコンが米軍への奇襲に使った地下通路。入ってみろというから入ったが真っ暗で腹がつかえて前へ進めず息苦しくなる。閉所恐怖症のおれは死ぬ思いをした。よくこんな洞窟を武器を持って走ったものだ。もっともそのくらいできなければあの強大なアメリカ帝国主義に勝てるわけがない。

 その夜は船上レストランで夕食。二胡の調べに乗ってベトナムの民謡が。歌っているアオザイ女性のなよやかで美しいこと。帰りはホテルまでタクシーに分乗したのだが、おれたちの乗ったタクシーの運転手が法外な運賃をふっかけてきた。ドアを開けて大声を出したらホテルの従業員が飛んできて運転手に何か言い、正常運賃になった。ホーチミン市は旧サイゴンだけあっては怖い街だ。

 22日はハノイへ飛び、昼飯を食べてバスでハロン湾へ向かった。かなり広い川をフェリーで渡る。ちょうど台風来襲で物凄い暴風雨に見舞われ悲鳴を上げた。夕方やっとハロン湾の見えるフォンガイに辿り着いた。