戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)反原発が嫌だから自主投票? 16/07/19

明日へのうた]より転載

 野党4党統一の鳥越俊太郎都知事候補が37年ぶりの革新都政奪還を目指して奮闘している。それなのに本来革新都政の一翼を担うべき労働組合の「連合東京」が、支持政党の民進党の方針に逆らって「自主投票」を決めた。政党に従属しないということは見上げた話だが、ことはそんなレベルの話じゃない。何故自主投票なのか。7月14日に発表された連合東京杉浦賢次事務局長談話を見てみよう。

 「連合東京は、『今都知事選において各政党は、国政における党利・党略に基く対決軸を都政に持ち込むのではなく、東京都民のために、その枠を超えてオ―ル東京の発想で対応すべきである』との認識で対応を図ってきた。しかし、告示直前までの参院選における激しい戦いの影響もあって、こうした私たちの思いは残念ながら通じず、自民党は分裂、民進党は候補者擁立に日々迷走を繰り返しながら、国政と同様に野党共闘という全面対決の構図となった。このような状況の中で、連合東京執行部として

 ①東京都がおかれている現状の中で、連合東京が今都知事選で特定の候補者を支援することは、国政のような与野党の対決姿勢を助長することとなり、妥当ではないと判断する。
  ②連合東京が都知事選候補者の支援を判断する最も重要な視点は、連合東京の政策を東京都政に反映できる候補者かどうかであるが、今回は、そのことを検証し組織的理解を得るための時間がない」。

 よって「自主投票とする」というのである。連合東京は1年半前の都知事選で、民主党からの反原発細川候補の推薦要請を拒否してあの金権舛添を推した。その結果の反省がまったくない。いずれにしても反原発はどうしても困るのだ。何故なら連合東京の主力単産は電力総連東電労組なのだから。

 国政の対立構図を都政に持ち込まない、というのだが要するに反原発の勢力には与(くみ)しないということなのだ。今度の都知事選でも、ついこのあいだまで東電の社外取締役をしていた増田寛也候補が出ている。本来なら増田推薦で行きたいところだがさすがにそこまでは言い切れない、というだけの話だ。

 おれとしてはそんな連合東京に「オール東京」なんて言葉は使ってほしくない。「オール○○」の元祖は「オール沖縄」だ。その意味するところは米軍基地の拡張に反対するという大義の旗の下に結集するということであって、味噌もくそも一緒にするというのとはまったく無縁だ。都政を安倍政治の思うままにさせないという点では鳥越候補こそオール東京なのだ。