戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)海外旅行・スペイン、ポルトガル(1996年)④ 16/07/14

明日へのうた]より転載

 旅行5日目、2月17日土曜日。昼はアルハンブラ宮殿、夜はフラメンコを聞きに行った。小高い丘の上に建つイスラム風宮殿。タイルのモザイク模様に目を奪われた。建物を写すプールや噴水など豊富な水が取り入れられてある。大昔、こんな丘の上まで水道(管ではない)を引いた技術は凄い。

 フラメンコは観光用のチャチなものでなく本格的な歌と踊り。佐藤一晴さんが特に選んだという。手拍子とタップでリズムをとり、主に男性が歌う。肥った女性が声を合わせる。テープで録音したのが残っている。圧倒的な迫力だ。ホテルに帰っても興奮冷めやらず飲み直したことは言うまでもない。

 翌朝グラナダを出て再びコルドバへ。コルドバで出版の今井さん、広告の江草さん、印刷の白戸さんら第二陣と合流し、バスでポルトガルとの国境の町メリーダへ向かった。

「ここはコルドバです。午後5時から6時にかけて、ローマ時代にかけられたという橋を渡りましたが、その周辺はカーニバルのようです。仮装した子どもたち、大人たちが楽しく行き交っています。6時過ぎに町の広場で仮装大会が開かれるそうで、その行列です。とっても楽しそうです。写真を撮るとにこにこして応じてくれます。さあそれではメリーダへ向かって一直線です」。

 メリーダの宿舎はパラドール・デ・メリーダ。昔の修道院をホテルに改装したもの。メリーダに着いたのが午後9時半過ぎ。腹も減ったしトイレにも行きたかった。途中でトイレ休憩をとりたかったらしいが、適当なところがなくて、カーニバルで賑わうバ―ル(居酒屋)に寄った。仮装の若者で一杯だった。

 2月19日、メリーダをバスで発っていよいよポルトガルへ。約2時間で国境を越えた。スペインの沿道はオリーブの林だったが、ポルトガルに入るとコルクの林に変わる。コルクの木は2メートルくらいの高さで、幹の皮が厚くなると剥がされてコルクに加工される。コルク生産世界一なのだそうだ。

 ポルトガル一泊目はエストレモス。静かな街だ。翌日はバスで3時間かけてリスボンへ。ホテル・リスボンに3泊して観光した。ジェロニモ修道院や欧州大陸最西端のロカ岬など名所を巡ったがあまり印象に残っていない。心にズンとくる衝撃を受けたのは小さな酒場で聞いたファドの旋律だ。