戸塚章介(元東京都労働委員会労働者委員)野党共闘は今後が大事 16/07/12

明日へのうた]より転載

 参院選の結果が出た。改選121議席のうち自民56、公明14、おおさか維新7で改憲派が3分の2を超えた。安倍首相は早速国会の憲法審査会を再開させ9条改憲へ向けて突っ走る構えだ。

 今度の選挙、18歳選挙権などいろんな「初もの」があったが、何といっても注目されたのは歴史上初の「野党共闘」だった。結果は32の1人区すべてで野党統一候補が実現し11議席を獲得した。前回野党はは2議席だったのだから大成功と言える。12日付『毎日』も「共闘『足し算』以上」との評価だ。

 野党共闘を主導した日本共産党は常任幹部会声明で「全国32の1人区すべてで野党統一候補を実現し、11の選挙区で激戦を制して自民党候補に勝利したことは、きわめて重要な成果です」と強調した。

 野党共闘がすべてスムースに進んだわけではない。また結果についてもいろんな評価の違いがある。それはむしろ当然だと思う。なにしろこんな本格的な野党選挙協力は歴史上かつてなかったことなのだ。おれはそもそも32の1人区全部で統一候補ができるなんて信じていなかった。それが実現した。そのことだけでも凄い話だと思う。さて野党共闘の今後だが、カギを握るのは労働組合だとおれは思う。

 民進党は今回の選挙で比例区は11人の当選だったが、そのうちなんと8人が次のように連合加盟大単産の組織内候補なのである。小林正夫(現69)=電力総連、浜口誠(新51)=自動車総連、矢田稚子(新50)=電機連合、川合孝典(元52)=UIゼンセン、難波奨二(現57)=JP労組、江崎孝(現59)=自治労、那谷屋正義(現58)=日教組、石橋通宏(現51)=NTT労組。

 比例区だけではない。選挙区も含めて民進党の選挙活動を組織的に支えているのは連合傘下の大単産である。これらのうち電力総連は原発再稼働の急先鋒だし、自動車総連や電機連合はTPP推進を叫んでいる。このような労働組合に依拠した政党と協力関係を結ぶのはかなり難儀だということは確かだろう。

 しかしそれをやり遂げたのが今回の選挙区での統一候補擁立である。それぞれの地方で大変な努力が払われたのだと思う。政党や労組などの組織だけではどうしょうもなかった難関を市民運動が突破したところが多かったのではなかろうか。改憲勢力3分2獲得でますますきな臭くなる政局をどう乗り越えていくのか。カギを握るのは民主勢力の協力共闘であり、労働組合の動向ではないかとおれは思う。