戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)セクハラ告発裁判で不当判決10/02/09

[明日へのうた]より転載

 1月26日、東京地裁民事11部で信じられない不当判決があった。東京美装興業という清掃会社で働く中国出身(現在帰化)の川崎礼姫さんのセクハラ告訴裁判で「原告の請求を棄却する」との主文。傍聴者は一瞬耳を疑ったという。川崎さんの裁判を支援してきたのは、首都圏移住労働者ユニオン。日本に滞在して働く外国人労働者のための組合だ。

 川崎さんのセクハラ事実。「上司が執拗に『食事』に誘う」「職場の男性休憩室の暗がりでビールを飲むよう強要」「胸を見ながら『いいですね。胸が大きい』」「『私(上司)のいうことを聞かないと仕事を続けられない』と言われる」「給料が不当に500円引かれる」「背後から身体を接触させる」「誰もいないところで『一回だけチュウさせて』と迫る」「手を握る」「『ブラジャーのサイズはいくら?』と聞かれる」「でん部を撫であげる」「川崎さんの個人ロッカーにワイセツ雑誌」などなど。一つ一つはたわいないことにも思われるが、こんなことを毎日されている身にとってはたまったものじゃない。

 これに対して「判決」は、「主任や職場の女性の同僚に数回にわたって話を聞き、セクハラの事実を見たことがあるか確認したら誰も見ていないのでセクハラあったとは認められない」との会社幹部の証言を丸呑みした判断。「ワイセツ雑誌は本人の求めに応じて入れた」と信じられない証言を採用し、結論は「原告のいうセクハラ事実なるものは、事実あったとしてもセクハラとまではいえない」というもの。

 「支援する会」代表の全労連柴田真佐子副議長は「極めて不当な判決。川崎さんは現在も職場に勤務し、パートという弱い立場にありながら勇気を持って訴えた。勝利するまで支援を続けます」と話し、弁護団も「密室で行われるセクハラは物証が乏しいのが現実。原告の提起したセクハラ被害を真摯に受け止めることをしない判決は極めて不当である」として控訴の方針を明らかにした。

 川崎さんの支援の中心を担う首都圏移住労働者ユニオンは、昨年11月に第9回総会を開き、委員長がそれまでの川崎俊二さん(元エールフランス争議団)から、田波紀夫さん(元雪印乳業争議団)に変わった。これを機会に、ますます重要になる在日外国人労働者の権利擁護に向けて力を発揮することを期待する。