戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)賃上げ放棄の春闘に未来はない10/01/31
ナショナルセンター「連合」は、今年の春闘で賃上げを要求せず「定昇」と「雇用」の確保に力を注ぐ方針を打ち出している。リーマンショック直後の昨年春闘では賃上げ要求を掲げたのに、企業業績が持ち直したと言われている今春闘で賃上げ放棄とはどういうことか。
確かに日本経団連の「経労委報告」では「定昇凍結もありうる」となっているし、労働者の賃金水準を維持するためにはせめて定昇ぐらいは確保しなければならないというのは本音のところだろう。しかし、定昇制度が労働協約や就業規則で定められているのはほぼ大企業に限られる。定昇しか要求しないということは春闘を始める前から中小企業労働者は見捨てられていることにならないか。
連合と経団連の会合で、「雇用確保に全力をあげる」という方針で一致したとの新聞報道。一見喜ばしく見えるが、どう「雇用確保」をするのかは皆目見えてこない。現在、雇用問題の最大のネックは首切り自由の「不安定雇用」がまかり通っているいることだろう。国会で議論されている「派遣法」抜本改善についてどう考えるのか、どう対処するのか。そこのところで本音の議論をたたかわせて欲しい。
この数年、日本の労働者は賃金ダウンに喘いでいる。毎年の収入予測が立てられない。住宅ローンが払えない。これでは消費が冷え込むのは当たり前。輸出企業の業績が上がったからといって、日本の景気は一向によくならない。ものづくりの拠点を海外に移した「トヨタ」が部品の不具合から百万台規模のリコール。国内の生産と労働者を甘く見ているからこういうことになるのだ。
労働運動は「生活を守る」「権利を守る」「平和を守る」というように「守る」ことが主体のように考えられている。しかし「攻撃は最大の防御なり」のことわざ通り「守る」ためにも「攻め」が必要なのだ。全労連は断固として賃上げを勝ち取る方針を掲げている。今年の春闘は「連合」と「全労連」の姿勢の違いが鮮明になった。どちらが真に労働者の力になるのか、国民の前で試されることになるだろう。おれはたたかう春闘への応援歌を精一杯歌いたい。