戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)フランスとイタリアにおける共産党の衰退10/01/21
不破哲三著「激動の世界はどこに向かうか 日中理論会議の報告」を読んだ。文句なしに面白い本だ。中国共産党側が事前に21項目にわたる質問を用意していて、日本共産党(不破さん)がそれに答えるという内容。今回の質問は中国側の希望で「世界経済危機」にしぼられた。
「金融危機が世界の政権党でない共産党におよぼす影響をどうご覧になるか。これらの党は新たな情勢下で、どのような発展戦略を打ち出すべきか」との質問。不破さんは、日本共産党が「ルールある経済社会」と評価しているヨーロッパを例に挙げて要旨次のように答えている。
フランス、イタリアに代表される西ヨーロッパの「ルールある経済社会」は、それを形成する過程で担い手となったのは共産党でなく社会民主主義の政党だった。不破さんはそう言い切る。どうしてそうなったのか。フランスやイタリアの共産党にはどんな戦略上の間違いがあったのか。
フランスとイタリアの共産党は、1960年の国際会議で「社会主義革命一本槍」に固執。日本共産党の民主主義革命を経た多数派形成による社会主義的変革路線と対立する。ところがその後の行き詰まりから、フランス共産党は「先進的民主主義」という中間段階を模索し、イタリア共産党は「民主主義的、反ファシズム革命の第二段階」としてキリスト教民主党との「歴史的妥協」を打ち出すことになる。
その結果はどうなったか。フランス共産党は「先進的民主主義」の道筋を示せないまま行き詰まり、再び「社会主義革命」路線に逆戻り。社会党内閣で入閣したのにその力を発揮できないまま党勢は衰退の一途。イタリア共産党は、「歴史的妥協」路線を進めついにNATOを容認するところまで行き着き結局共産党を解党する。
不破さんは言う。「私たちは、社会主義的多数派形成の戦略をもたない社会主義革命論の危うさと同時に、革命戦略を真剣に探求する意欲をもたないままの安易な戦術転換の危険性を、そこからくみとるべきではないでしょうか」
それはそうかも知れないが、おれには、共産党抜きでも「ルールある経済社会」ができるとしたら、共産党というのは一体何なんだろう、という疑問が残るのだが・・・。