戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)新旧分離による日航再生と労働組合10/01/15
日本航空の再建方式が「新旧分離」で行われることが明らかになった。「新旧分離」と聞いただけで、何か懐かしい。74年から77年にかけて取り組まれた「毎日新聞倒産反対闘争」を思い出す。あれからもう35年も経つんだな。おれも若かったし、日本の労働運動もまだ若々しかった。
企業再生支援機構による「日航再生計画」の原案骨子は次のようになる。①ホテル、旅行事業など子会社の売却、②航空事業に集中した新会社(新旧分離)に移行、③本社の羽田移転、④企業年金の減額、⑤国内線14、国際線12路線の撤退、⑥小型機比率を35%から52%へ、⑦従業員を5万1000人から3万6000人に減らす、⑧営業利益をマイナス2600億円からプラス1100億円へ、などなど。
大騒ぎした企業年金だが、結局減額して存続させることになった。現役50%、OB30%の減額である。この減額に賛成しないと企業年金がゼロになってしまうと脅かされた結果、現役、OBともに3分の2以上が減額に同意した。八つある労働組合はそれぞれどんな態度をとったのだろう。
毎日新聞社の新旧分離は「私的会社更生法」と呼ばれて、法的手段はとらなかった。法的手段をとる前に三和、三菱はじめ銀行団と話をつけた。今度の日航再生案では最終的には会社更生法の適用を申請することになる。ただし申請前に利害関係者間で調整を進めておく。これを「事前調整(プレパッケージ)型」というのだそうだ。
「利害関係者」の中には当然従業員が入る。従業員の意見を代表するのが労働組合だ。毎日新聞の場合は、新旧分離のすべての過程で労働組合が関与した。「合意書」路線といって、大きな経営変動はすべて組合の合意を必要とする旨の協定書を労使で結んだ。経営変革の同意権を握ったということはそれだけ強い発言権を持ったということではあるが、反面、経営の浮沈に大きな責任を背負わされたということでもある。毎日労組はとにもかくにもその与えられた責任を全うすることができた。
日航再生の成否は、従業員とそれを代表する労働組合の力量にかかっている。おれはそう強く思う。