戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)日本年金機構から排除された525人10/01/07

[明日へのうた]より転載

 社会保険庁が解体され「日本年金機構」が昨4日から業務を開始した。正規職員1万600人、有期雇用職員1万1900人での発足である。機構は「非公務員型公法人」ということだが、いままで国が直接管理運営していた公的年金に関する仕事を民間に任せることになるのは確かだ。つまり年金管理が丸ごと営利事業になるわけだ。これまでもずさんな資金管理が問題になってきたが、これでますます、公然と国民の積み立てている年金が儲けの手段にされていく。酷い話だ。

 郵政民営化で、郵便貯金や簡易保険の掛金が日本やアメリカの金融ハゲタカどもによって食い荒される危険を呼び込んだのと同じことが、公的年金にも起ころうとしている。早くも財界・大企業が、ビックなビジネスチャンスだとばかりに虎視眈々とねらっている。機構の理事長に日本経団連から元専務を送り込んだのもそのねらいからだ。

 さらに問題なのは、社保庁解体=年金機構発足のはざ間で525人もの公務労働者が、分限免職の形でクビを切られていることだ。上司や職場の了解のもとで組合活動をしていた者を「ヤミ専従」と決め付けて機構への採用から除外してしまった。その数は、他の「不祥事処分者」を含めて525人に上るという(一つの行為で二度の処分をすることは民法上違法処分となるはず)。

 形でいうと国鉄からJRに移行したときの採用差別に似ている。しかし、JRのときは「余剰人員」という錦の御旗らしきものを振り回したが、今回は民間から1000人も新規採用しているのにクビを切るのだからもっと悪質だ。

 日弁連がこの採用差別に対して違法行為だと指摘、全労連や国公労連も年末に厚生労働省前で抗議の座り込みをした。その声が民主党連立政権下で無視されたということだ。これから法的救済を求めて争うことになるだろう。困難だろうが勝たねばならない。労働組合活動を罪悪視する一部世論を説得し、組合活動を敵視する不当労働行為こそが罪悪なのだ、という観点を貫くことがいま一番大切なのだとおれは思う。