戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)電機産業の軒並み赤字と労働組合12/02/05
4日付『毎日』が3面で、日本の基幹産業「電機」の業績悪化を特集している。「パナソニック 赤字最悪7800億円」「3月期予想 社長『改革急ぐ』」「電機の苦境鮮明に」「TV赤字 利益相殺」「円高、韓国勢躍進に押され」「環境分野に活路求める」「事業の選択で『空洞化』進む恐れ」
パナソニックの他、ソニー(2200億)、NEC(1000億)、シャープ(2900億)が3月期赤字を予想しており、黒字計上のメーカーも軒並み前期比減益。「かつて世界を席巻したテレビ事業などの『日本ブランド』が韓国メーカーとの競合や急激な円高で不振にあえぐ」状況。
例えばテレビ部門。確かに円高や韓国勢との競合で輸出を中心にした売り上げは減っているのかも知れないが、これだけの大幅赤字を出すほどの減りなのか。『毎日』記事によれば「各社とも大量に売っても利益を確保でない状態」で、「売れ筋の30型台テレビの平均単価は、09年2月の10万2000円から今年1月には3万5800円と3年で7割近く下落」しているそうだ。
それが「市場経済」「自由経済」というものさ、と言ってしまえばそれまでだが、3年間に値段が3分1になるというのはいくらなんでも異常だと思う。それほどの低価格競争を可能にしたのは何なのか。部品の大量生産や生産工程の効率化もあるだろうが、やはり大きくしわ寄せされているのは労働コストではないか。
『毎日』記事に戻る。「電機各社のテレビ事業営業赤字見通しと対応」という表。日立の数十億円赤字からソニーの1650億円まで。その対応としては「安いパネルを調達(ソニー)」「パネル生産の一時中止で人員削減を前倒し(パナソニック)」「新興国へのテレビ販売量を引き上げる(東芝)」「テレビ自主生産から撤退、すへて外部委託へ(日立)」とますますのモノづくり空洞化を志向している。
韓国勢も含めた企業競争に勝つためと称して労働者に犠牲を強いる電機メーカー。それに無条件に追随してきた労働組合。その構図が現在の「売っても利益の出ない」電機産業の体質を産んでしまったのではないか。賃上げ要求を放棄し、リストラ要請にただ従うだけの労働組合。それが「日本の『モノ作り』をけん引してきた電機業界」(『毎日』記事)をもダメにしてしまつた、とおれは思うのだがどうだろう。