戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)公務員賃下げ法案をめぐる政労間のきしみ 12/01/12
11日付『赤旗』5面。「国家公務員賃下げ法案」「連合との約束か 自公案か」「政府と民主混迷」「〝賃下げ地方公務員も〟と自公」――7.8%の賃下げ法案をめぐって政府と連合のきしみが生じているというのだ。と言っても「賃下げ是か非か」という原則論でなく「同じ穴のムジナ」的きしみなのだ。
昨年6月、政府は公務員賃下げ法案を国会に提出する際、連合と①0.23%賃下げとの人事院勧告は実施を見送る、②公務員労組に労働基本権の一部付与を認める公務員制度改革4法案を成立させる、③賃下げを地方公務員に波及させない、との約束を交わした。7.8%賃下げ案を呑んでもらうためだ。
ところがこれに対して自公は、①人事院勧告の実施、②労働基本権付与と賃下げ案は分離せよ、③地方公務員の賃下げについて地方自治体に対し必要な対応を迫る、との反対意見を自公案として提示した。昨年暮、民主党前原政調会長はこの問題で自公の政策責任者と会談し、自公案の丸呑みを表明。これに日教組出身の輿石幹事長が異論を唱え、自治労出身議員らが自公案拒否で結束。ついに前原表明は覆された。
『赤旗』記事を署名入りで書いている行沢記者によれば、この公務員賃下げ法案をめぐる民主党の内紛は、日頃「労組嫌い」で押し通している前原氏への連合派の「嫌がらせ」だという。「(前原氏は)民主党代表時代には自民党と公務員攻撃で競い合うほどでした」。これも困ったものだが、政府と連合の癒着の方も誉められた話ではない。連合はどうして「公務員の賃下げを認めない」と言えないのか。
労働組合が、政策の一致する政党(あるいは政府)と協力共同して、労働者の生活と権利の向上を目指して活動することはまったく正しい。憲法や労組法が規定する「労働者の社会的、経済的地位の向上」を目指す正当な組合活動である。しかし、それは労働組合が政党や政府から独立した存在であることが絶対的な条件であろう。
連合は「癒着」に麻痺してしまって「協力共同」と同じものと勘違いしているのではないか。公務員問題で言えば「公務員の賃下げに反対する」という原則を捨ててしまったら、ほかでいくらいいこと言っても「同じ穴のムジナ」になってしまう。『赤旗』の行沢記者は「(大幅賃下げ容認は)労組の自殺行為にほかならない」と言い切っている。おれもそう思う。