戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)身も心もボロボロの青年たち 12/01/06

[明日へのうた]より転載

 『毎日』に元旦付から連載の「リアル30's働いてる?」が面白い。4日付③と5日付④の見出しはこうだ。「使い捨ていつまで」「派遣転々…身も心もボロボロ」(4日付③)「入社2カ月 解雇通告」「『大卒』『正社員』も安心遠く」(5日付④)。30歳代労働者の姿をリアルに描いている。

 独身31歳のダイスケさんは私立高卒。ファミレスとコンビニ掛け持ちで働いて月収13万。8年目に身体を壊し、今度は派遣になった。自動車部品工場へ。ここもリーマンショックで解雇され寮を追い出される。仕方なく生活保護を申請し月12万でなんとか生きている。

 運送会社の正社員でトラック運転手のコージさん31歳。「1日の睡眠時間は2、3時間」「中央分離帯に激突しそうになって心臓がパクパク」の毎日。経費節減のため高速道路も使わせてもらえない。一般道を時速100キロで飛ばし食事やトイレも我慢。とうとう追突事故に遭い持病の腰痛が悪化して退社。寒風が吹く公園を歩くと背を丸めたホームレスが。「もうすぐ自分もああなるのかな」

 早稲田大学を04年に卒業したマコトさん30歳。在学中演劇にのめりこみ、就職活動をしなかった。アルバイトで食いつないでいたが、将来に不安を感じて就職あっせん会社に登録。50社申し込んで面接にたどり着けるのは半分。それもすべて断られる。「好きなことやって就職の機会を捨て、調子いいこと言ってるねえ」そんな面接官の声が聞こえた気がした。結局、派遣になったが派遣先の契約打ち切りで仕事がなくなり辞める。いま小さな出版社に入社して長時間残業をしながら上司のいじわるに耐えている。

 01年に学習院大学を卒業したケンジさん34歳。従業員500人の自動車部品メーカーの経理部に就職。08年のリーマンショックでリストラが始まりケンジさんは経理部から工場へ。単純な肉体作業。結局退職勧奨を受けて退社。失業給付を受けながら簿記2級の資格を取る。「転職サイト」に「製造業・正社員・事務職」で登録した。100社に応募して面接に進めたのは10社。やっと内定したのは年収400万の食品会社。しかし、入社1ヵ月後に「能力がないため解雇します」と通告される。離職票には「能力不足」と記されてあった。

 これが「経済大国日本」の現実なのである。この逼塞状況を突破できるのは労働組合しかない。新年にあたって強く思う。