戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)ブアジジ青年の自殺から1年経ったチュニジア 11/12/19

[明日へのうた]より転載

 「チュニジア 『革命』数万人が祝う」「発端の青年自殺から1年」(19日付『赤旗』)。チュニジア中部の街シディブジッドで17日、ムハンマド・ブアジジ青年を追悼し「革命」を祝う集会が行われた。ブアジジ青年は昨年12月17日、無許可路上販売をしていたとして警察に暴行され抗議の焼身自殺をした。

 「人口4万人の同地での集会には、アラブ各国の人々を含め、数万人が参加し、音楽や踊り、歓声に包まれました」。集会で、青年の母親は「息子はチュニジアとアラブ世界に自由をもたらそうと命を絶ちました」「新政府には、貧しい地域を重視し、若者の雇用をつくってもらいたい」と挨拶した。

 このブアジジ青年の自殺をきっかけに、若者たちが大規模なデモや集会を呼びかけ暴動に発展。ついに23年つづいたベンアリ政権を崩壊させた。これに刺激されて、隣国アルジェリア、ヨルダン、シリア、イエメンへ、そしてエジプト、リビアにも民衆デモがひろがった。

 その後のチュニジア。『赤旗』記事によれば「同国では『革命』後、民主化にむけたプロセスは一定進んでいますが、雇用悪化や物価高騰など、経済は依然として深刻な状況」らしい。それでも民衆の中からは「民主化には時間と忍耐が必要だ。政治家にチャンスを与えるべきだ」との意見も出ているそうだ。

 一連の北アフリカ・中近東の「民衆デモ」の中には、リビアのように武力闘争で血を流しているところもあり、エジプト、シリアなどデモへの弾圧が続いている国もある。これらの国に比べればチュニジアの『革命』は平和裏に辛抱強く進められているように思える。

 「ブアジジさんは、すべてのチュニジア人に尊厳を取り戻させてくれた」(マルズーキ新大統領)の言葉にあるように、国家指導者が民衆とともに歩む姿勢をきちんと堅持している。それが「苦しいながら力を合わせて民主的国家をつくっていこう」という国民的コンセンサスになっているのではないだろうか。

 チュニジア『革命』の発端から、たたかいの土台を支えてきたのが「チュニジア全国労働組織(UGTT)だった。おれはこの労働組合の果たす役割が新しい国づくりの基礎になっているのだと思っている。