戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)湯浅誠氏の「社会福祉論」に大きな拍手 11/12/16

[明日へのうた]より転載

 見事なドンデン返しに思わず笑ってしまった。今朝16日付の『毎日』9面。「くらしの明日」というコラムに反貧困ネットワークの湯浅誠氏が登場。「私の社会保障論」「興味深い新市長のあいさつ」「福祉は最高収益の投資」の見出し。「新市長」と言われれば誰でも例の橋下大阪市長を思い浮かべる。「現政権や既成政党に不満を持つ多くの市民の支持を集めて当選した」「弁護士出身でアイデアマン」とあるからこりゃもうてっきり橋下某に違いないと信じきって読み進んだ。

 「新市長」は次のようなあいさつ文を発表したという。「深刻化する住宅難、減少し続ける働き口、憂いが深まる伝統市場や路地商圏、競争力が低下している自営業や中小企業、増える非正規職。そのどれもが新しい解決策を求めています」「1%が99%を支配する、勝者が独占し多数が不幸になるという現象は公正な社会ではありません。過度な競争で皆が疲れ弱っていく生活は、公平な世界ではありません」

 あれ?あの市長はこんな歯切れのいいこと言うのかな、と思いつつも、まだ「大阪市長」が頭を離れない。「新市長」はさらに言う。「福祉は人間に対する最も高利回りの貯蓄であり、将来に対する最高収益の投資です」。そして最後にこう宣言する。「福祉は施恵ではなく、市民の権利です」と。

 ここで湯浅さんは突如種明かしをする。「新市長とは、朴元淳(パクフォンスン)。10月26日に誕生した韓国の首都ソウルの新市長である」「途中まで『あの人』と似ていると思った方がいたかも知れないが、全然違う」。さすが「派遣村」の仕掛け人。人の意表に出ることと話のもっていきかたが実にうまい。おれは思わず頭をかいて笑ってしまった。

 湯浅さんは、朴新市長の「過去10年の間に、(経済)成長が必ずしも福祉をもたらしたわけではないということが明らかになりました。むしろ福祉が成長を牽引する時代になったのです」という言葉を引用しながら、次のように「私の社会保障論」の結びとする。「人を育てる費用は、貯蓄であり投資だろう。福祉のない成長は、結果的に将来の世代の可能性を食いつぶす」――おれも心底そう思う。

 夕方、自転車で新松戸診療所歯科へ行きメンテナンスをしてもらった。歯の磨き方がなってないとの厳しい指導。落ち込んでいると「ま、この年で自分の歯が23本あるのは上等よ」と慰められた。