戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)「民衆デモ」の年を締めくくるロシアのデモ 11/12/13

[明日へのうた]より転載

 「貧困と腐敗 怒り一気」「『ロシアの冬』各地で抗議」「ロシアデモ プーチン氏苦境に」「小手先では収束困難」(13日付『毎日』)。「モスクワ5万人集会」「『公正な選挙を』数十都市で」「大統領、不正調査を指示」(13日付『赤旗』)。世界的なデモの嵐が今度はロシアで吹き荒れている。

 振り返れば昨年の暮れのこと。地中海に面した北アフリカのチュニジアで「路上無許可販売(野菜、果物)」の青年が国の取り締まりに抗議して焼身自殺。これがきっかけになって大規模な市民デモが発生し暴動の様相を呈した。つづいて、シリア、イエメン、ヨルダン、エジプトにもデモは波及。リビアではカダフィ大佐の独裁政治が崩壊した。そしてデモはアフリカ、中近東にとどまらなかった。

 EU圏のギリシャ、スペイン、ポルトガル、最近ではイタリアでも「財政再建」を理由とした緊縮政策に抗議するデモが。夏を過ぎるとイギリスで青少年を巻き込んだ騒動が起る。労働組合や政党が指導した正規のデモでなかったため一過性で終ったが、これが海を越えてニューヨーク・ウォール街の「99%による占拠」運動へと飛び火した。これは当局の座り込み排除の弾圧にもかかわらず今も粘り強く続いている。

 そして今回のロシアのデモ。デモが起りそうでまだ起っていないのは北朝鮮くらい。2011年は民衆デモの年と言ってもいいのではないか。

 日本でも「原発反対」をスローガンにして市民デモが各地で行われた。その頂点だつたのは9月19日の「さようなら原発6万人集会」。おれも参加したが、明治公園内外に参加者が満ち溢れ凄い熱気だった。「原発ゼロ」の一点での統一行動との位置づけもあったが、おれには「貧困」「格差」「国民不在の政治」などへの市民の鬱積した怒りが爆発したように見えた。中近東、北アフリカ、EU、イギリス、アメリカ、そして日本、市民の要求は世界共通なのだ。

 これら世界を席巻したデモの嵐を「既成の政党、労働組合等を乗り越えた市民エネルギー」と捕らえる議論がある。頼りになるのは市民の無秩序・無政府的なエネルギーだとする見方だ。ほんとにそうだろうか。おれには今こそ民衆の立場に立った「既成の政党」「労働組合」が必要だと思えるのだが。