戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)「明治ステップ」からのセシウム検出に思う 11/12/07

[明日へのうた]より転載

 明治乳業埼玉工場で製造された粉ミルク「明治ステップ」の一部に、1キロあたり最大30.8ベクトルの放射性セシウムが検出された。昨夜のテレビでも、今朝の新聞でもニュースとして大きく取り扱われている。厚生労働省も「粉ミルクからのセシウム検出は初めて」と驚きを隠せない。

 明治乳業の発表によれば、粉ミルクの原料は大部分がオーストラリアなど外国産で一部北海道産が使われている。しかもいずれも震災前に製造されたものという。ではどうして製品からセシウムが検出されたのか。会社は「粉乳を水などと混ぜ合わせて霧状に噴霧したものを熱風で乾燥させた折り、取り込んだ外気に含まれるセシウムが影響した」(7日付『毎日』)と説明しているがどうも分かりにくくすっきりしない。

 明乳争議団は、明乳の放射能検査は各生産地からクーラーステーションに集められた原乳を混ぜ合わせたのち検査するというシステムで、これではそもそも実態は分からないと指摘していた。ごちゃ混ぜ検査ではなく酪農家単位・生産地単位で検査すべきたというのが争議団の提起だった。

 この「明治ステップ」からのセシウム検出報道を受けて、それでなくても低迷していた(株)明治ホールデングの株が325円も暴落した。おれの持っている分でいうと3万8000円も急落したことになる。被害甚大だ。もともと儲けようと思って買った株ではないが、買値の3分1とはあんまりだ。

 明乳争議は市川工場事件の都労委申立てからでも27年になる。先日11月30日に後追いの全国事件が都労委で結審になった。8月から10月にかけて、担当公益・労働者委員の退任を節目に和解に入るよう会社を説得したが「120%ダメ」と頑なに拒否。この話し合い拒絶の経営体質が今回のセシウム検出にもつながつているのではないだろうか。

 働くものを大事にするという姿勢がなければ、消費者への配慮にも欠けるおそれがある。おれには、会社が都労委命令を待つまでもなく、話し合い解決への決断をすることが消費者の信頼を回復する早道のような気がするのだが。