戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)米「労働関係委員会(NLRB)」の機能停止か 11/11/27

[明日へのうた]より転載

 日本の労働委員会は、不当労働行為の審査と労使紛争の調停を行う機関であるが、この原型はアメリカの「全国労働関係局(NLRB)」だといわれいる。ただしNLRBは不当労働行為の審査と労組結成の手続きを行い、労使紛争の調停は「連邦調停斡旋局(FMCS)」が受け持つ。

 本27日付『赤旗』に「米労働関係委止まる?」「共和党 労組結成迅速化に反発」という記事が出ている。ここで「全米労働関係委員会」と呼んでいるのは「全国労働関係局」のことである。NLRBは大統領が指名する5人の委員で構成されるが、委員指名には上院の承認が必要となっている。

 いま5人のうち2人が欠員で、残る3人のうちの1人は共和党系の委員。この共和党系委員が辞任の意向を示している。辞任されると定足数に満たなくなり委員会としての意思決定はできなくなってしまう。共和党系委員の辞任理由は、NLRBが近く決定しようとしている「労組結成の迅速化措置」を阻止するため。共和党はオバマが誰を指名してもすべて反対する構えだ。

 オバマ大統領は米労働総同盟(AFL・CIO)などの要請を受けて、労組の結成、団交権の拡充に前向きの姿勢をとってきた。今回のNLRBによる「労組結成の迅速化」の法的措置はその一環だ。これに対して産業界が猛反発、共和党がそれに応じてNLRBの機能停止戦術に出たわけだ。

 いまニューヨークのウオール街を中心に巻き起こっている「99%運動」は、労働組合の支持を得ているとはいえ労働組合運動そのものではない。運動に立ち上がっている若者が「労働組合の結成」へと向かえばアメリカの労働運動も大きく変わるだろう。いまのような労働ボスに支配された労働組合から、ヨーロッパの労働運動のような民主性と行動性を持つ可能性がある。

 アメリカの財界、保守政界はこれに危機感を抱き、たとえばウィスコン州の「公務員労組の団交権剥奪」のような形で反発の行動を起こしている。一方、失業者の増大など経済の先行きが暗いアメリカで、虐げられてきた人々も立ち上がっている。いまやそのせめぎあいの最中なのだ。どちらが勝つのか。そのカギを握っているのは「労働組合」なのではないだろうか。日本の状態も似たようなものだと思うのだが・・・。