戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)G20で影の薄い米国と存在感を示した「新興国」 11/11/08
ユーロ圏17ヶ国首脳会議に引き続いてカンヌで開かれていた、主要20ヶ国サミット(G20)が4日閉幕した。先のユーロ圏首脳会議でまとめた「欧州債務危機対応の包括策」の「早期の実施」を要請する文書を採択したものの、今度はイタリアの財政赤字が表面化するなど世界経済の先行きは暗い。
そんな中で存在感を示したのが中国やインドなどの「新興国」。7日付『赤旗』で小玉特派員は、G20議長国フランスのサルコジ大統領が真っ先に会ったのは中国の胡錦濤国家主席だったと報じている。欧州金融安定基金(EFSP)への投資を懇請したらしい。胡錦濤主席の返事は「欧州の問題は欧州自身で解決を」と素っ気ない。ブラジルのルセフ大統領も対欧州直接融資を否定した。
G20のメンバーであるブラジルもアルゼンチンもかつて財政危機で国際通貨基金(IMF)から融資を受けた。IMFは企業利益優先の政策を押し付けようとしたが、両国ともそれを拒否し「雇用と貧困克服重視」路線で経済成長への道を切り開きつつある。このことは欧州の労働組合への大きな励ましだ。
前記『赤旗』記事によれば、国際労働組合総連合(ITUC)のパロウ書記長はアルゼンチンのフェルナンデス大統領再選を「霧だらけの世界で希望の星」と祝福し「アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイで始まった雇用重視と社会的包摂(社会的弱者を社会の中に取り込もうとする政策)のモデルが機能している」と述べている。
G20閉幕を報じる5日付『毎日』1面に、複雑な笑顔でなにやらポーズをとっている米オバマ大統領の写真が載っているが、記事にはアメリカの発言は見当たらない。もはやアメリカは世界経済のカギを握る存在ではないのである。そんなアメリカに義理を立てて「TPP交渉参加」とか「消費税引き上げによる財政再生」とか言っている日本という国は一体何なんだ。このままでは世界の孤児になってしまう。
ギリシャのパパンドレウ首相が、「国民投票」断念、連立協議開始と引き換えに辞任を表明した。これは昨年はじめから9回のゼネスト、延べ100万人の抗議デモなどをたたかい抜いた労働者、市民の勝利といえる。いくら政府が困ろうが「駄目なものは駄目」と言い通す国民性がうらやましい。