戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)TPP参加は労働者への攻撃でもある11/11/05
いまTPP(環太平洋経済連携協定)への参加問題が大詰めにきている。先ごろアメリカへ行ってオバマ大統領から「すぐさま参加を決断せよ」と一発かまされた野田首相は、もう恥も外聞もなくTPP参加へまっしぐら。この10日にも決定かと新聞に出ている。
ところでナショナルセンター「連合」は以前からTPP推進の基本方針である。主力団体の金属労協(IMF・JC)などは、地方議会でのTPP反対決議をどう阻止するかとの通達まで出す有様。しかしここへきて連合内部に異論が目立つようになってきた。その急先鋒がフード連合である。
フード連合は労戦統一前の食品労連と食品同盟が合併した組織で、食品業界の大部分の組合を傘下においている。フード連合は「TPPは米や豪州の大規模農業国からのすべての品目に関税撤廃を受け入れざるを得ず、私たち食品関連産業は大きな打撃を受けることになる」と指摘する。
本5日付『赤旗』によればTPPは建設産業にも大きな影響を与えるという。「TPP 入札制度が変わる」「地元業者・労働者の仕事奪う」というわけだ。この記事の中で、NPO法人「建設政策研究所」の松村加代子専務理事は次のように語っている。
「現在、日本では、地方自治体が実施する公共事業の入札に外国企業が参加できるのは、工事規模で23億円以上です」「(TPP参加によって)この基準は3分の1以下に下がり」「(地域企業優先の)条件付一般競争入札ができなくなる」「新興国の安価な賃金の労働者の参入で、低価格競争が激化し、地域建設業者は受注と収益が減少し、建設労働者の賃金、雇用・就労条件が悪化する恐れがあります」――こうなっては「公契約条例」などはどこかへ吹っ飛んでしまう。
TPPは農業だけの問題ではない。放っとけば日本の労働者全体の生活と権利が脅かされる。この問題では、JAをはじめ農業団体や医師会の動きは活発だが労働組合の姿勢はもう一つはっきりしない。農民を助けるという範囲にとどまらず、自らの雇用と労働条件を守るという観点から運動を強めてほしい。