戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)ユーロ圏債務危機への欧州労連の断固たる姿勢 11/10/30
ブリュッセルで開かれていたユーロ圏17ヶ国首脳会議で27日、「欧州債務危機対応の包括策」が合意に達した。①ギリシャ国債の50%元本削減、②域内銀行の自己資本比率の増強、③欧州金融安定化基金(EFSF)の資金力を1兆ユーロに拡大、が対応の3本柱だそうだ。
28日付『毎日』は、この包括策で欧州の銀行は「1000億ユーロの損失処理を迫られる」と指摘する。おれなんか「なるほどEUは金融資本に対して厳しい措置をとったのかな」と受け取ったが、どうも実際は違うらしい。欧州労連(ETUC)は「金融市場に屈した」との批判声明を出したというのだ(30日付『赤旗』)。
ロンドン小玉特派員の記事からETUCベルナデッド・セゴル書記長の発言を紹介する。
首脳会議がEFSFの拡充策として特別目的事業体(SPV)を設立したことは「各国政府がたたかうべき有害な機関を付け加えるに等しい」と批判。「ユーロ圏首脳は、個々の国への金融市場による攻撃に対し、ユーロボンド発行による強い防火壁構築の機会を失した」「進路を変え、多くの人々にとつての緊縮と苦境の道を捨てることを求める」
ETUCは首脳会談に先立って次のような「宣言」を発表している。「(金融市場は)危機発生以降、多くの利益を上げ、株主に配当を、経営者に賞与を与え、さらなる負債と緊縮をもたらしながら、またもや国からの救済を求め、労働者と家族に償わせようとしている」「労働者がカジノ資本主義の囚人となっている機能不全の制度を終らせるときだ」
確かにユーロ圏の債務危機は深刻な状態だと思う。日本の労働組合はこうした場合、過去の例からして「緊急避難」としての「緊縮政策」や「銀行保護」を認める立場に立つことは間違いない。これは企業組合の発想である。ETUCは「危機の根源」に迫って「金融市場」との妥協を認めない。その断固とした姿勢が、歴史的に見れば真の「欧州危機突破の包括策」になるんだろうな。