戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)ドイツ最強労組ⅠGメタルの警告ストに思う 11/10/09
ドイツ最大最強の労働組合IGメタルが7日、航空機製造大手「エアバス」で1万5000人の「警告ストライキ」を実施した(9日付『赤旗』)。警告ストとは「ストをやるぞ」と会社に警告するために行う示威行動で、いわば時間内職場集会のようなものらしい。ドイツでは労働者の団体行動権として法的に認められているそうだ。
英・独・仏・スペインの国際共同会社「エアバス」は、景気変動を理由に派遣労働者の解雇を行い、将来ドイツ工場の一部をフランスへ移転する計画を明らかにしていた。これに対してIGメタルは「2020年までの雇用保障と派遣労働者などへの権利擁護を約束する労働協約の締結」「2年以上勤務した派遣労働者の正規労働者としての雇用」などを求めて会社側と団交してきたが、5日にその交渉が決裂したため「警告スト」に踏み切ったもの。
同日付の『赤旗』には、「自由法曹団」の全国会議で非正規労働者の裁判を勝利していくための議論がされた模様が報道されている。小部幹事長は「裁判闘争を通じて派遣法が労働者を保護できず、裁判所が違法行為を免罪する判決が出ている。裁判闘争と立法闘争を結合して労働者のために頑張ろう」と挨拶した。
日産、ホンダ、いすゞ、パナソニック、ダイキン工業、資生堂などの裁判が報告され「非正規の働き方による損害、違法な実態を改めて立証することが必要だ」との意見が出た。大量解雇阻止対策本部の鷲見本部長は「悪法の下でも裁判のたたかいにも勝ち、直接雇用を実現することが重要だ」と強調。鷲見弁護士らしい言い方だ。
小部さんや鷲見さんはじめ、自由法曹団の先生方が寝食も忘れてがんばっておられることには心底から敬意を表する。しかし、派遣など非正規労働者の権利擁護のたたかいを先生方と当事者にだけ任せておいていいものだろうか。非正規労働者の問題は、法的側面ももちろんあるが、基本は労働運動の課題だと思う。IGメタルが「警告スト」を実施したように、日本でも非正規労働者を大量に使っている大企業の労働組合が、実効性のあるたたかいに立ち上がることがいま求められているのではないだろうか。