戸塚章介 (元東京都労働委員会労働者委員)明乳経営者よ 争議を話し合いで解決せよ 11/09/05

[明日へのうた]より転載

  明乳の都労委審問を傍聴し、その後の進行調査にも出てきた。85年に申し立てた市川工場の32人は都労委、中労委、地裁、高裁、最高裁と負け続けて法的には一応決着がついてしまった。いま都労委で係争しているのは、95年に申し立てた全国事件。こちらも32人なので計64人になる。そのうちすでに元争議団長の加賀谷武喜をはじめ9人が死んだ。恨みを抱いたまま死んだ。

 今日の会社側証人の主尋問に対する10月24日の反対尋問で一応証人調べは終わる。ここへきて、担当公益委員がこの11月一杯で退任するという事態が明らかになった。労働者委員の退任もすでに決まっている。せっかく結審まで優位に審問を運んできたのに、審査委員長の退任は痛い。どうするか。

 一番いいのは、公益委員と労働者委員の退任を機に労使双方から斡旋を申請して事実上の和解協議に入ることだ。明乳の会社側は、おれが担当委員だった頃の都労委での和解を拒否し、その後、中労委、東京高裁の和解勧奨にもけんもほろろの態度。今回も、公益委員の退任を契機に話し合い解決を提案したが「120%ダメ」と断ったという。11月末の公益委員退任まで和解をめぐって駆け引きが続くが多分厳しいだろう。

 おれは明乳の株主でもある。株主総会への出席権を得るために無理して買った株はその後下落を続け買値の90万円が半値以下になってしまった。この間、明乳は明治製菓と合併して明治ホールディング株式会社に成長した。それなのにこの株価低落はなんとしたことだ。株価と企業業績は一体でないというが、ひと頃の半値以下に下がった原因は企業運営と無関係ではなかろう。

 明乳の企業運営について、株主のおれから見て疑問を呈せざるを得ない。企業の原動力はつまるところ「人=労働者」に尽きる。働く者を大事にしない企業は、目先の利益は得られるかも知れないが企業としての未来はない。あのJALがそのいい例ではないか。東電も同じ轍を踏んだと言えよう。

 今からでも遅くはない。明乳経営者は人を大事にする経営に舵を切り替えるべきだ。かれこれ50年の不当労働行為の歴史に終止符を打つべきだ。おれの知っている限り終わりのない争議はない。どんな結末になろうとも最後は「労使協議=団交」で決着せざるを得ない。明乳経営者が都労委の斡旋を受け入れることを切に望む。